2012年03月30日(金) |
白花 (シラハナ)への手紙 (仮)・51 |
「イオリさんは兄弟がいるの?」 「わたしは一人っ子だったから」 それでも兄弟がいるって微笑ましいなあ。同世代の友達ならいたけど、ほとんどが男の子だったし。こんな会話も新鮮でうらやましい。 「でも家族は多かったからさみしくなかったよ。犬もいたし」 「イオリ姉ちゃん、犬かってたの?」 興味深々のウィルド君にうなずきをかえす。 「子どもの頃から一緒だったの。毎朝散歩してたんだ。 元気にしてるかなあ。ユウ──」 ユウタと続けようとして、ふと口をつぐむ。そうだ。どことなく似てたんだった。 「……?」 わたしの視線に気がついたんだろう。男の子が──いつまでたっても男の子じゃよくないか、ユータスさんがわたしの方を見て首をかしげる。 「お兄ちゃん、女の子をぶしつけに見るのは失礼よ」 もっともニナちゃんがたしなめると、ん、とまたスープを飲みはじめたけど。子どものころから一緒だった一番の友達。お父さんのことお願いしたけど大丈夫かしら。手紙もちゃんとだしておかないと。 そうだ。 「これ、良かったらどうぞ」 昨日道の途中で買ったアップルパイを手渡す。焼き菓子だから大丈夫なはず。おばさん達の代わりで申しわけないけど、一人では食べきれないし何より捨ててしまうのはもったいなかったから。
過去日記
2007年03月30日(金) 「EVER GREEN」11−8UP 2005年03月30日(水) 「佐藤さん家の日常」学校編その6UP。 2004年03月30日(火) SHFH11−2
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