つれづれ日記。
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2012年03月29日(木) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・50

「だれだ?」
男の子がぼうっとした表情で私の方を見る。
「だれだじゃないでしょ! 昨日お兄ちゃんを助けてくれた人!」
そんな彼を手慣れた仕草で起こすアルテニカ兄弟。軽くたたいたり引きずったりしてるのはご愛嬌なのかな。
「昨日……?」
首をかしげて再度わたしの方をじっと見て。しばらく目をつぶったかと思えば手をポンと叩いた。ついでペルシェとも叫んだ。
「それ、昨日も聞きました」
「ユータス=アルテニカ」
「それも昨日聞きました」
そう言うと『ん』とひとつうなずいた。かと思えば再び目を閉じようとして、そこをまたニナちゃんにゆさぶられて起こされて。
「ごめんなさい。お兄ちゃんひとつのことに夢中になるとまわりが見えなくなっちゃうくせがあって」
「……みたいですね」
昨日のあれが原因かと心配したけどどうやらそれだけでもなさそう。お母さんが呼んでるよと耳元で言われると、顔を洗ってくると部屋を出て行った。

「久しぶりのお客さまだからはりきっちゃった。お味はどうかしら」
アルテニカ家一同との食事はなごやかにすすんだ。手づくりのパンにリンゴのジャム。あたたかいスープに野菜サラダ。食事もさることながら、みんなの話し声が楽しそうで。
「それでさ、姉ちゃんったらひどいんだ。オレの荷物全部外に出すんだもん」
「前々から言ってたでしょ。『こんどしまわなかったら全部外にだすからね』って」
たわいもない会話なんだろうけど聞いてて飽きない。兄弟がいるってこんな感じなのかな。






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