2012年02月24日(金) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・41 |
夜も遅いということで、その日はアルテニカ家にお世話になることになった。 「すみません。夕食までいただいたのに泊まらせてもらえるなんて」 「いいのよ。気にしないで」 長身の女性が声をかける。 「息子を助けてくれた恩人ですもの。これくらいはさせてちょうだい」 エリー・アルテニカ。ユータスさんのお母さんだ。暖かいスープ。半分野宿を覚悟していたから、こうやって食事をさせてもらえるだけも大変ありがたい。 「ここへはどうやってやってきたの?」 「シラハナからの定期便があるの」 もっとも定期便は都からしか出ていないし、家からそこまではさらに時間がかかったのだけれど。 船の旅は刺激的だったらしく、二人とも目を輝かせながら聞いていた。 「怪物に襲われたのに、イオリちゃんよく無事だったね」 「うん。これを使って――」 そこではたと我にかえる。 船で怪物に襲われて、それでも無事にたどりついた。気づいたらハリセンがとんでもないことになっていて、妖精の森でおそわれたときもこれが武器になってくれた。 ハリセンはお父さんがくれたもの。はたくことはできるけど風をおこしたり、ましてや人を吹っ飛ばすほどの能力はないはず。そもそもわたしはどうやって海での危機をのりこえたんだろう。 「……あれ?」 何か忘れているような気がする。わたしは船で誰かに会った? 誰かに会って。そこから何が起こった? 「イオリちゃん?」 気遣わしげな声に慌てて首をふる。 「長旅で疲れてるでしょう? 今日はゆっくり休んでいってね」 確かに疲れているみたいだ。お言葉に甘え、与えられた部屋で早めに休むことにした。
過去日記
2010年02月24日(水) Web拍手レスです(個人的なレスですみません) 2006年02月24日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,94UP 2005年02月24日(木) 風邪再び 2004年02月24日(火) ミーハーにつき。その2
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