つれづれ日記。
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2012年02月23日(木) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・40

「名前教えてもらってもいいかな」
 今更ながらに問いかける。わたしの名前は何度となく言ったからわかると思うけど、彼の口からはひとことも聞いてない。そろそろ自己紹介くらいしてくれてもいいはず。
「お兄ちゃん自己紹介もしてなかったの?」
 そう思って尋ねると、再びニナちゃんの眉がつり上がった。
「お姉さんはイオリさんでよかったよね」
 確認の声にうなずく。隣の彼はそうなのかとつぶやいて、三度ニナちゃんににらまれてた。どうやら興味のないことにはとことん興味がないみたい。
「イオリ・ミヤモトです。白花(シラハナ)から来ました。あなたのお名前は?」
 そう言ってダークグリーンの瞳を見つめると、彼もわたしの青の瞳を見つめ返す。ぼうっとした風体と森での一件があったから深くは考えてなかったけど、改めてみると背がわたしより頭ひとつ分は高い。まじめな顔をすれば、なんとなく真面目そうな人に見える……かもしれない。
 ひとつ、ふたつ。瞬きをしたあとに男の子の口から出た言葉は。
「ユータス・アルテニカ」
 これが男の子と――ユータとまともな会話をした瞬間だった。

 ここまでの道のりが長いと感じるのはわたしだけなのかな。






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