つれづれ日記。
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2012年02月12日(日) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・29

 いつの間にかうたた寝してしまった。ただでさえ暗くなりかかっていたのに今度は真っ暗だから帰り道もわからない。
「起きてください!」
 男子はまだ眠っていた。この状況で眠ってられるなんてよっぽど根性がすわってるのか疲れきってるだけなのか。
「おきてってば!」
 どちらにしてもいいはずがない。ゆさゆさと体をゆさぶって。強引に平手打ちでもするべきかと思案していると、目の前の男子はようやく目を開けた。
 薄茶色の髪に濃い緑の瞳。寝起きなのと眼鏡をしてないからか表情がぼうっとして見える。そして、やっぱりユウタに似てる気がする。
 男子のダークグリーンの瞳がわたしの青の瞳をとらえる。じいっと見つめ合って彼がいった一言は。
「……違う」
「だから何が違うの!」
 再び目を閉じようとした男子の首根っことつかんでがくがくゆらす。端から見れば漫才に思われるかもしれないけど事態が事態だからなりふりかまってなんかいられない。
 尋常じゃない事態。魚もどきは霧とともに陰をひそめ代わりにあらわれたのはきのこもどきと野犬もどき。野生の犬だからか牙や爪はどう猛そうで間違っても家で飼ってた犬(ユウタ)とは明らかに違う。
 明らかに違うのは体躯から感じられる気配。敵意むきだしってこういうことをいうんだろうか。その気になればいつでも喉をかみちぎれるとでもいいたげに犬歯をむき出しにしてうなっている。一方キノコもどきのほうは胞子をまき散らしてはいるものの、攻撃する気配はない。
 そして男子は結局眠りについてしまった。もしかして、キノコもどきのせい? だったらわたしも眠くなっていいはずなのに。
 どちらにしても相手は帰してくれる気配はなさそう。男の子とのケンカはあっても魔物とは皆無。それでも戦うしかない。この前は逃げるだけだったけど、今度はどうやって?
 シャラ……。
 左手につけた腕輪が目に留まったのはそんな時だった。 






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