2012年01月20日(金) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・7 |
「怪物だ!」 「モンスターが現れたぞ!!」 周囲の声にあっけにとられる。船旅をしていて魔物に襲われた。どこかの物語ならよくありそうな話。窮地に陥ったヒロインをヒーローが助けてくれるのもよくある話。 でも残念なことに今は現実で。右を見ても左を見ても逃げ惑う人ばかりだった。 「お嬢ちゃんも早く逃げるんだ!」 知らないおじさんに押される形で船内にもどる。途中でたくさんの人にもみくちゃにされた。男の人、女の人、船員らしき人まで。緊急事態だからみんな周りのことは考えてられない。 ようやく安全なところまでたどりついて胸をなで下ろそうとして。 「……ない」 荷物を放り出してきたことに気づく。あの中には全財産が入っているのに。財産もだけど、あの中には大切な。 「お嬢ちゃん、どこへいくんだ!」 そう考えたらいてもたってもいられなくて。周りの制止の声もきかず再び船室の外へ飛び出していた。
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外にはだれもいなかった。みんなずっと前に避難してしまったんだろう。 「お兄さん?」 外は雨が降っていた。ううん。雨なんて生やさしいものじゃない。これはきっと――嵐。 そんな中で、青ずくめのお兄さんはいた。
過去日記
2011年01月20日(木) 「ほのぼのお題」その3 2010年01月20日(水) 「文章修行家さんに40の短文描写お題」その17 2006年01月20日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,90UP 2005年01月20日(木) 文をかくときその2
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