2012年01月05日(木) |
白花(シラハナ)への手紙。4 |
「勉強にいくだけだから。お父さんも大げさなんだから」 結婚なんて文字は一言も出てないし。そもそもお父さんだって人のこと言えないはずなのに。そんな押し問答を繰り返して三時間。結果的に父親には内緒で出て行くことになった。 親離れできない子どももだけど、子離れできない親も考え物よね。もしかしたらこれを機にお父さんも自立してくれるかも――なんてことを考えていると、目の前に真っ白な封筒をさらされた。 「手紙。お父さんの妹さん夫婦がそこに住んでるんですって」 声の主はお母さん。黒髪に黒い瞳の典型的なシラハナの容姿。わたしの髪はお母さんゆずり、瞳の色はお父さん譲り、容姿は母曰くおばあちゃん譲り――らしい。青い瞳は東の国では珍しい。小さい頃はよくからかわれていたけどお父さんと習っていた体術のおかげでなんとかきりぬけることができた。 あれだけ反対していたのにどうしてと考えていると。 「それぐらいお見通しよ。親なんだから」 苦笑しながら二本の指を突きつける。 「条件は二つ。手紙を書くこと」 「でも、ティル・ナ・ノーグからシラハナまでずいぶん時間がかかるよ?」 下手したらなくなっちゃうかも。そう反論すると。 「それでも。ちゃんと書いて送ること。それともう一つ。変な意地をはらないこと。辛くなったらすぐにもどってらっしゃい」 これには一も二もなくうなずいた。
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