SkyHigh,FlyHigh!
Part,9−4
髪の色は歳がたつにつれ落ち着いたものになっていった。 容姿のことで口を挟まれることはなくなったが、その頃にはもう彼女は誰とも口をきかなくなっていた。 怖かったのだ。同世代の子供達の輪の中に入っていくことが。またいじめられるのではないかということが。
小学校六年生になったある日、まりい自身もとある女性の養子となった。 それが今の義母――椎名つかさだ。 つかさはまりいのことを一度も名前で呼んだことはない。 それはまりいが自分の名前を嫌っていることを知ったうえでのことなのだが、まりいはそれに気づいていない。
そのうち、由香も家を訪れるようになり、少しずつ、少しずつだが新しい環境になれていった。 だが―― 『この人は本当にいい人?』 『信じても大丈夫なの? また、私を一人にしない?』 その思いだけはいつまでたってもぬぐえない。 まりいは人と人の間に見えない壁を作るくせがついてしまっていた。
過去日記
|