2010年06月30日(水) |
委員長のゆううつ。その2−30 |
「でも霧があるから大丈夫だって」 「ある程度は、ですけど」 ということは、ある程度は身に危険があるってことか。 「異世界って大変なんですね」 何度言ったかわからない台詞を口にすると、頭の上に手を置かれた。 「少しずつ慣れていけばいいと思いますよ」 軽く二回。……男の人ってこういう仕草になれてるんだろうか。 「あたし、ちょっと水くんできます!」 制止の声はあえて無視してその場を後にした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「異世界には危険がつきものかぁ」 水をくんだついでにため息一つ。 男子に免疫がないわけではないけれど。そういうことはほとんどなく。高木詩帆、悲しいかな生まれてこの方十六年一度も付き合ったことがない。加えるならキスすらしたことがない。 先輩には毛布越しに、さっきのカリンくんには二回も頭に触れられた。学校だったらまずあり得ない光景だ。そもそも学校では委員長だったあたし。委員長ってことは時にいらぬことまで口を挟まないといけないからやっかみを受けることも多々ある。ましてやお世辞にも気が弱いとか大人しいといった部類には絶対入らないあたし。男子にはさぞかしやっかいな存在だったんだろうな。 「少しは女らしくするべきなのかしら」 そんな時だった。
過去日記
2006年06月30日(金) もうしわけありませんが 2004年06月30日(水) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,13UP 2003年06月30日(月) 弓道、その後
|