2010年06月29日(火) |
委員長のゆううつ。その2−29 |
戦うという動作ができなくて、一介の女子高生にすぎないあたしができることといえば。 「皿洗いですか」 消去法でいけば自然とそうなるだろう。 「カリンくんまで手伝わなくてもよかったのに」 隣でお皿を拭いてくれている長身の男の人に視線を向ける。あたしよりも頭一つ以上高い背丈。翠玉の瞳が優しげにこちらを見つめている――わけではなく。今はお皿を磨き上げるのにせいをだしてるようだ。 「女性一人に苦労をさせるわけにはいきませんから」 リズさん達も手伝ってくれればいいでしょうにとつぶやくカリンくんに曖昧に笑みを返す。実は手伝うとは二人とも言ってくれた。でも何もできないのもしゃくに障ったので自分でできることは自分でやりますと丁重にことわった。ちなみにじゃあ別のこと準備しとくねとさっさといなくなってしまった。何の準備なのか非常に気になるところではある。先輩はがんばってねーと手をひらひらさせながらどこかに行ってしまった。まったくもって先輩らしき言動だ。 「カリンくんは戦うことってできるんですか?」 今まで何度も言われてきたのでものはついでと尋ねてみる。 「どういう行動をもって戦うというのかはわかりませんが。ずっとこの世界で生きてきましたから」 優しげな表情からはそんなことをしてきたとはとうてい思えない。それとも謙遜してるのかしら。 「ですが、自分の身を守れるくらいにはなっておいた方がいいですね」 「治安が悪いんですか?」 「先ほどもリズさんが言ってましたよね。海獣と呼ばれる物がいると」
過去日記
2006年06月29日(木) メガネ到着 2005年06月29日(水) 現実って 2004年06月29日(火) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,12UP 2003年06月29日(日) 弓道に行ってきました
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