2010年06月27日(日) |
委員長のゆううつ。その2−27 |
「人の生まれ故郷をそんな悪者みたいに言わないでよね」 柳眉をあげたのはリズさんだった。 「だってなんにも見えないんだもの。気づいたら身動きとれないし、獣だって出てくるしさぁ」 「それは運が悪かっただけ。わたしがちゃんと手当してあげたでしょ」 どうやら先輩とあたしは考えていることは同じだったらしい。 「霧があるから僕たちはまだこうして歩けるんですよ」 意外な発言をしたのはカリンくんだった。 「詩帆さんはこの霧のことは知ってますか」 「確か冰(ヒョウ)って言うんですよね」 先輩から聞いた。霧の正体だって。なぜか宙に浮いている大きな月のかたまり。それが地上に落ちてきて、陽の光に照らされて光る霧ができあがりだって。 この霧。当然ながら視界がよくない。周りが見えないから相手も自分も動くに動けず、もちろんそんなの平気で襲いかかってくる獣もいるらしい。要は、霧のおかげで獣、リズさん達いうところの『海獣』との遭遇率が少なくなってるんだそうだ。 「先輩はどうやって戦うんですか」 めいいっぱい抵抗はあるけれども聞いてみると、後でのおたのしみとのこと。あと語尾にはーとまーくがついてた。 「大丈夫。そのへんもわたしが何とかしてあげるから」 「前に同じこと言ってとんでもないことになりませんでしたか」
過去日記
2006年06月27日(火) 血のつながりを感じる時 2004年06月27日(日) 梅雨 2003年06月27日(金) ビーチバレー。
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