2008年01月04日(金) |
【EG番外編】セイル編 その2 |
「わたし? リズ」 紫の瞳の女の子はそう言ってぼくの額に手をあてた。 「君が看病してくれたの?」 冷たい手が気持ちいい。 「ううん。九割がたカリンくん。わたしは残りの一割だけ」 『くん』ってことは男か。ちくしょー。ここは女の子が定番って決まってるでしょ。現実はそう甘くないってわけね。 物を言う気力も失せて目をつぶる。 確かあいつと一騎討ちしてやられたんだよね。 それで、甘っちょろいこと言われたから喝入れたら逆ギレされちゃって。あまつさえ殺されかかってたからあろうことか敵の攻撃受けちゃって。弱ってたとはいえぼくらしくもない。 本当に弱ってたのか、もしくは。 「あなた。迷ってるのね」 それはリズと名乗る女の子の声。 「先に進みたいのに強い想いに捕らわれすぎている」 不思議なことに、ぼくはその手を振り払えなかった。 「あなったって意外に後ろ向きなのね。あなたはどこへ進みたいの?」 不思議なことに反論もできなかった。 「せっかくこの世界に来たんだし、ゆっくり決めてくといいよ」 それだけ言い残すと彼女は去っていく。
まいったな。弱ってたのは体だけじゃないみたいだ。
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