約束事の其の軽重など、 仮の重量で。
軽に属する約束が、 軽んじられて良い筈は無いのだけれど。
何年も護り続けられた、 殊更重い筈の、 約束事が。
無意識下で、 あっさり破られた事は。
恐らくは。
何かを暗示して居るのだろう。
此の記憶など、 欠片も残さぬであろう姫への、 行き処の無い怒りを。
自身に喰い込ませた、 爪の先に委ね。
燻った儘の、 無造作に放置された煙草を、 水を浸し。
煙った部屋に、 戸外の、 生きた空気を注ぎ。
恐怖と興奮に惑う娘を、 緩やかに、 眠りへと誘い。
汚し歩いた血塗れの床を、 辿り探しては、 拭き歩く。
酔っても良い。
過ごしても良い。
怪我も仕方ない。
嫌いでも、 指示を聞きたく無くても、 構わない。
けれど。
何故其処に、 一々、 想いを削り取る作業が入るのだ。
重ねた総てを全否定する行動が、 何故其処で、 素で生じるのだ。
散々周囲に迷惑を加え、 漸く縫われて、 帰宅した其の直後。
姫は。
返す刀で、 前後不覚で吸えやしない煙草に火を点け、 部屋を煙だらけにした儘、 固まって居た。
結局は。
端から、 口先だけなのだ。
総て。
---------- References 「オクトーバフェスト2010」 Sep.21 2009, 「受け継がれる笑顔でしょうか」
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