お互いの過去。 お互いの現在。
自分の知らない相手の時間を、 その場にいない自分も共有できる物。
「写真」
よほど言えない秘密の時間でない限り、 自然に見せ合う物。
二人を繋ぐ貴重な物。
こんな簡単な事なのに。
いや。 簡単な事だからこそか。
お互いが特殊な関係にある事を痛感する。
写真の交換なんて、 俺と貴女の間では自然な行為。
けれど貴女の大切な友人にとっては、 決して許せない背信行為。
貴女の友人の怒りは当然だ。
自分の知らない男が自分の写真を持っていれば、 不安感・不信感で堪らないはずだ。
秘密の尻尾の先を漏らしてしまった後、 浮かんでくる感情に押し潰されそうになる。
貴女へのお詫び・・・
自分の軽率さ・・・
そして俺と貴女の関係は、 他人には秘密の時間でしか存在し得ない事に。
貴女の友人でも、 俺の友人でも、 見せてあげる事ができない。
お互いの友人と一緒に過ごす時間は、 永遠に許されない。
二人が恋人として過ごす時、 世界には二人だけしか居ないんだ。 |