昨日の予報とは打って変わって、空には透き通る程の青が広がっていた。 寝汗で体がベタベタする。 電車に乗り遅れたためいつもより遅く学校に着くと、教室の前では数人の友人の姿があった。 私はそれを横目に教室へ入り、鞄を机に掛けた。 「あ、Tだ!」 廊下側からAの高い声が聞こえる。 そして半ば無理矢理に、私は廊下へ連行された。
「どしたん?」 廊下は教室より、幾分涼しい風が吹いていた。 「あたしさぁ、また他の奴に告られたんだけど」 少し声のトーンを落として、勝ち誇ったようにAは言った。 「つーか、別れたって昨日みんなに連絡したんよー。そしたら前振った奴がまた告ってきた!馬鹿だよね〜男って!あ、あとHに工専の人紹介して貰った!すごくない?」 嬉しそうに笑うAを前に、私は言葉を失っていた。 なんだか頭がくらくらする。 「すごくない?あたし行動速いよね〜」 「あぁ」 というかコレは、周りに飢えた男が多いだけじゃないのか? 低血圧の私には、朝からAのテンションについていけるはずもなく、生返事を返すだけだった。 そうしてAは、予鈴と共に教室へ帰った。 私はまだ働いていない頭で、1限の授業を思った。
その日から、しばらく忘れかけていた雨が再び大地を潤し始めた。 私は、移り気なこの空のように感情に任せて動くことも出来ず、かといって雨に打たれるだけの大地にもなれずに、窓の外を眺めた。 明日も雨になるらしい。
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