幾つかの類似した要素を、 重ね逢わせる事で。
想いは、 容易に誤作動するから。
眼前の実像を、 別の、 虚像へ移し替える事など。
頻繁に、 起こり得る。
其れ故に。
生じた想いは。
決して、 固定された要素に由来するとは、 限らず。
自身の手を、 介在せずとも。
容易に、 誘発されるのだ。
「知らなかった。」 「犬ってあんなに舐めるんだ。」
打ち合わせに同席した、 小型犬の、 其の振る舞いに。
戸惑い。
同時に。
「いつも舐められたあと。」 「小坊主を想いだしてる・・・。」
自身の飼い猫とは違う、 其の、 舌の感触へ。
坂の街の人は、 俺の舌を重ね逢わせて、 再び惑う。
そんな舌と、 決定的に違う感覚が。
俺には、 在る筈なのに。
如何して。
想いは、 其の差異を補間して了うのかな。
---------- References May.20 2008, 「垣間見えますか」
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