胸の谷間の、 少し上に。
度々目に入る、 其の位置に。
紅く染まった、 傷痕。
其の、 胸の爪痕が。
俺の記した、 想いなら。
何れ程の幸福感を、 もたらすのだろうか。
愛しい相手の、 肌に乗って居るのは。
現実には、 俺以外が傷付けた痕。
あからさまに、 胸の大きく開いた服を、 其の身に纏い。
姫は化粧を始めた。
「其の服、着るの初めて?」
「うん、可愛いでしょ?」
俺以外と逢う為に。
準備を万端に整えた、 姫は。
最後に。
出掛けの駄目押しを、 残して行くんだ。
「見えちゃったら。」 「小坊主にやられたって言おうかな♪」
「魅せるな!」
犯人は。
我関せずと、 素知らぬ振りをしながら。
「にゃぁ。」
姫の悪戯に、 舌舐めずりを隠さない。
---------- References May.04 2004, 「過ちは素直に認めませんか」 |