眼前に在る筈の、 其の姿を。
例え、 想い描く事しか出来ぬ刻でも。
音を以て。
文字を以て。
互いの想いを育む事は、 可能だけれど。
互いの、 其の間隙に。
如何なる粒子の介在も、 在らぬ刻に。
果たして。
どの程度、 想いを育む事が可能なのだろうか。
自身の内を巡り、 如何に、 増幅されて居ようとも。
外界と、 何の相互作用も生じない、 閉鎖回路では。
想いは、 育って行かぬのだ。
「もうすぐだね。」
久しぶりに。
坂の街の人と、 文字が、 行き交う。
其の夜は傍に在る。
唯、 其の一点を支えに。
手を繋ぎ、 其の温もりを貪る一瞬を。
脳裏に、 投影し続けて居る心算でも。
本当は。
自身の眼前にしか、 想いは、 向いて居ないのかも知れない。
交わしてこその、 想いなのにね。
---------- References Dec.16 2007, 「祝いの想いは遠いでしょうか」
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