決して、 其れは相手自身では無く。
相手の放つ、 音に過ぎないから。
届く音の真偽など。
飽く迄、 受け手の恣意に満ち溢れた想いに、 他ならないのに。
何故に。
其の言葉を、 本心と、 想い込んだのだろう。
其の、 特別に想う空間では。
一糸も纏わぬ、 お互いを、 魅せ逢うのだと。
強く誓い、 希って居た故に。
其の言葉に。
信を、 感知して了ったのか。
其れとも。
背信と、 制約と、 背負うべき責めを前提に。
初めて、 成立すると言う事を。
互いの想いを、 互いが、 呑み込んだ時点で。
覚悟の上で、 受け容れたのだと。
疑心に。 違和感に。
勝手に蓋をした故なのか。
想いが、 想いで在る以上。
決して。
其の言葉が、 本心で在る筈は無いのだ。
想いが、 想いで在る以上。
決して。
激しい痛みを、 内包せずには在り得ないのだ。
「奥さんとしないの?」
「何で?」
唇を重ねながら。
耳に届いた、 其の違和感が。
「小坊主を思いながら抱かれるのは結構辛い。」 「奥さんとなら許すって言ったけど、嘘よ。」
三カ月以上の時を経て。
やっと、 本来の姿に戻った。
---------- References Jun.23 2006, 「触れずに辿り着けるのですか」 Apr.03 2006, 「狂えば此の掌に掬えるでしょうか」 Mar.10 2006, 「一歩目は何処に在るのでしょうか」
|