< 機会を生かして居るでしょうか >
百度、 伝え聞いたところで。
一度、 其の眼に映し獲る機会には、 敵わないから。
僅か、 一度の経験ですら。
様々な知見を、 自身に、 注いでくれるのだけれど。
何故に。
其の、 何事にも代え難い筈の、 貴重な経験を。
時に忘れて。
或いは、 生かし切れずに。
人は、 無駄にして了うのだろうか。
謀ったかの様に。
「あはは!」 「小坊主たねなしになる?」
「笑い事じゃないんだけど・・・。」 「其れに。」
「それに?」
「沖縄で出たら。」 「五日足止めなんだけど・・・。」
「あはは!」 「私は先に帰って来るからね!!」
潜伏期を過ぎて、 病が牙を剥く刻は。
姫の実家に向かう頃に、 違いない。
其の病に罹った、 一度の機会を。
姫は、 生かして居て欲しいと。
祈る様に、 目を閉じる。
「三人同じ予防ワクチン打っています。」 「免疫力落ちていて感染の可能性あり。」
母親は。
兄弟が、 一堂に会した其の日に。
妹の、 阿多福風邪が発症した事を、 告げて来た。 |
2005年11月09日(水)
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