相手の振る舞いは、 飽く迄、 業務の一環で。
何の落ち度も、 無いのだけれど。
何故か。
想いを抉られた様に、 感じられる。
きっと其れは。
自身が、 為すべき事を果たして居ない、 其の証拠を。
他人の手を介して、 喉元に、 突き付けられたからに違いない。
何も、 知らないのだと。
そして、 何も教えて居ないのだと。
母の手帳を。
子を、 自身に宿して居る、 其の徴を。
姫は、 手に入れた。
「お願いします。」 「お父さんは何をされているのですか?」
「良くわからないんですよー。」 「どちらにおつとめで?」
「何かあの辺にいるって聞いてるんですが。」 「するとあそこにお勤めなんですね。」
「たぶんいると思います・・・。」 「・・・。」
役所の人間の、 失笑と共に。
そう。
姫は、 俺を知らないのだ。
姫の事を、 俺が、 何も知らない様に。 |