其れは、 防衛装置の一種で。
自身を護る為に、 本能的に、 発動される仕組みなのだ。
自身の、 余裕の無さを捕らえて。
確実に、 自身の行動力を低下させ、 無理をさせぬ為に。
忙しさに応じて、 人は、 不機嫌や無感情に陥るのだ。
けれども。
其の、 本能的な反応は。
時として、 自身の認識可能な範囲を、 超えるから。
制御し切れぬ想いが、 暴発し。
想いとは裏腹の刃を、 大切な相手に、 突き付けるのだろう。
「いつも優しかったら疲れるから。」 「小坊主だって怒鳴ったり怒ったりで良いんだよ!」
矢面に立つ覚悟を、 贈ってくれては居るけれど。
其れよりも。
其の装置の発動を、 確実に、 感知する存在が。
自身の気付けぬ変化を、 捕捉する存在が。
崩壊の前兆を、 丁寧に、 教えてくれるから。
想いとは裏腹の、 悲しい刃を、 振り翳さずに済む事へ。
感謝する。
昼の定時便に。
姫が、 想いを乗せて来た。
「何かあったの?」
未だ、 何が在ったか。
俺には、 良く分かって居ないんだ。
---------- References Nov.12 2004, 「心の一部を捨てられますか」 |