手を伸ばした、 其の理由は。
確かに、 暖を提供する為の行為で。
直接的には、 決して、 想いでは無いかも知れないけれど。
冷えた手を、 握った手を。
包む様に、 暖める事が。
想いでは無いと、 言い切れるのだろうか。
色づき始めた木々と、 白い息。
季節が始めた、 大慌ての冬支度に、 耐え切れず。
「何で握ってくれないの?」 「私と手を繋いで歩くの、嫌なんでしょう!」
歩道の真ん中で、 姫は叫んだ。
先に、 其の手を振り解いたのは。
俺では無いのに。
俺から、 態態、 振り解いた手を。
胸の前に半端に掲げ、 不満を口にする。
お互いが、 少しでも触れて居ないと。
此処迄、 不安に成るなんて。
もしかして、 何処かで道を誤ったのだろうか。
「私が何の為に。」 「小坊主と付き合ってると思ってるのよ!」
「・・・。」 「暖かいから?」
「そうでしょ!」
暖かさを理由に。
姫は、 不安を、 必死に掻き消して居る。 |