同僚が。
「小坊主、話あるんやけど。」
他者では無く、 敢えて俺を指名した事から。
身近な友人では無く、 未だ深く語り合った事も無い相手を、 選択した其の雰囲気から。
彼の伝えたい話の全容を、 殆ど全て理解して。
「俺に言う事じゃないでしょ。」
浮かんだ最後の言葉に、 慌てて蓋をした。
何度と無く、 意図を交わし合い。
其れでも尚、 相互理解に至らぬ事が、 多いのに。
何の前触れも無く届いた、 僅か最初の一言で。
何故。
お互いの共通理解が、 最終局面に飛んでしまうのだろうか。
物理的な距離や、 想い描く距離や、 其の過程や、 自身に巣喰う想いが。
殆ど同様な状況下に、 居る事を。
お互いがお互いに、 感じて来たからなのか。
其れとも。
俺が只、 其の言葉が手に入る事を、 渇望して居るだけだったのか。
「小坊主、話あるんやけど。」 「別の職が決まってな。」
「良かったじゃん!」 「一緒に住むんだ?」
「おお、住む住む。」
「おめでとう!」
「結構待たせとるしな・・・。」
俺には未だ。
呑みに行こうと彼に伝える力しか、 備わって無いよ。 |