< 真を返さぬのが正解でしたか >
例え片言でも、 単語が浮かんでくれば。
其れを紡いで、 想いを再構築する術が在るのに。
其の欠片すら浮かばぬ時。
何を介して、 想いを届ければ良いのだろう。
事の大きさが漠然として、 正確に計れぬ故に、 単語が産まれてくれぬのか。
想いが邪魔をして、 半分他人事を含んだ第三者に、 成り切れて居ないのか。
俺自身も、 平常心で無い事だけは、 理解出来た。
今、 目の前で。
「何とか元気ですよ。」
相変わらず、 傍に居る男の不満を口にするけれど。
目の輝きは、 比較にならぬ程明るいから。
其の不満の種の、 雄の力が。
今の笑顔を、 取り戻したに違いない。
産まれぬ言葉と動かぬ指先に、 抗うかの様に。
「メシ食ってるか?」
一ヶ月前の事件の時、 無理矢理返信したけれど。
「頭が真っ白で。」 「嘘の笑顔さえできません。」
あの時、 御嬢から届いた文に。
「Re:」
題名だけ書きかけで、 後は空白の、 今も残された文が。
返すべき本来の返信で。
そして、 返してはならぬ返信だったのかな。
---------- References Nov.20 2003, 「爪の先に甘い毒を仕込むのですか」 |
2004年02月29日(日)
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