目の前の言葉に。
眼も、 頭も、 そして心も。
逃げ惑うかの様に、 全てが離散する。
其の合力は、 只一点に留まる事でしか存在し得ぬ。
いや寧ろ力を失って、 合力が消失しただけなのかも知れない。
動きに追い付かぬ自身の想いに、 即ち、 把握出来ぬ相手の想いに。
激しい動揺と、 著しい焦燥を感じながらも。
唯一。
受話器を通して届く声が、 以前とは比較にならない程に、 明るい事を認識して。
相手たる資格が足らぬ事を。
否応無しに、 突き付けられて居る事だけ、 理解した。
「これが私なんだよね!」
昔話をしながら、 口を衝いて出た貴女の言葉。
文末が。 語尾が。
快活で、 安心感に溢れて。
俺が初めて見る姿なんだよ。
---------- References Dec.31 2003, 「二度目は何を想って居ますか」 |