雲間の朝日に想うこと


< 略奪品は匂いますか >


産まれた嫉妬心が、
自身にとって、
決して負の想いでは無いとしても。

更に露わな怒りが、
極々自然に発生し得る想いだとしても。


 「良いなぁ!」
 「ずるい!」


執拗に喰い下がる想いを、
静かに、
緩やかに、
沈めて行く為に。

例え其れが、
有効な選択肢だとしても。



想いが手元から奪われて行く事に、
違いは無い。







其れでも。


周囲の感覚が、
通常の嗅覚刺激と異なる情報を放つ事に、
いち早く気付き。

其の情報を、
嗅ぎ回り、
嗅ぎ回り、
目一杯仕入れる様にして、
眠りに付くのなら。


其れが最小限の償いで、
其れは最大限の土産と成る可能性を、
秘めて居るかも知れないんだ。










僅か二日。

もし時間単位に基準を遷せば、
一日分にも満たない期間が。


二人に与えられた時間だとしても。


濃密な時間を過ごし。

そして染み付いた匂いが、
強く、
鮮明に、
残される物だとすれば。



半年近くの時間を共に過ごした物に、
宿る匂いへ。

更に強く、
更に鮮明に、
残り香を振りまく宿命を、
背負わせても構わないよね。










もし貴女から、
俺の匂いが消えてしまっても。






 「お母さん・・・」
 「小坊主の匂いがする・・・」


俺の匂いを胸に、
眠りについた小さな彼へ。


 「お母さん。」
 「これ小坊主の匂いがする。」


小さな彼が、
貴女の手から奪った其の熊の人形が。


きっと、
御休みを伝えてくれる。





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References
 Jun.18 2003, 「必要な秘密でしょうか」


2003年12月15日(月)


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History
2002年12月15日(日) 失っても構わないですか





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