雲間の朝日に想うこと


< 何番目の貝殻代わりですか >


自身を掴み離さぬ大きな幹を、
捜し求め続け、
未だ其の途に在る故に。

寄居虫の様に、
手頃な仮住まいを纏い、
猶も迷い、
複数の貝を被る。


其の行為が、
是か非か。

判断を下すのは、
飽く迄当事者のみに与えられた権利だけれど。





宿木を複数所有すると言う、
事実の自覚と。

自身の信を相手に見せぬ以上、
相手の信を得られぬとしても当然であると言う、
覚悟の自覚と。

其れは全てに於いて、
自身が選択し創り上げた物だと受容する、
責任の自覚と。


最低限の義務を果たした上で、
当事者に与えられる権利だと思うから。









 「選べなくても良いですよね。」


俺に許容を求めた御嬢へ。


 「選べないじゃない。」
 「選ばないだよ。」
 「人に依存しないで自分で何とかしなきゃ。」


足りぬ自覚を伝え、
鼓舞した心算だったのに。








 「三番目でも四番目でも良いですから。」


潤んだ瞳に乗せる牝狐の言葉は、
的確に雄の本能を揺さ振り。

悟られぬ様に、
俺は手掌の脂汗を隠した。










自身を軟着陸させ得る存在と、
自身を厳しく追い立てる存在との間を、
交互に行き来して。

ただ自身を肯定する柔らかい存在が、
今は心地好いだけだから。



御嬢は俺に許容を求めるんだ。



きっと次は。


今御嬢が振り向こうとしている雄が、
優し過ぎると。

其の言葉を持参して、
俺の元に来る。


2003年10月13日(月)


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2002年10月13日(日) 俺は出たらいけませんか
2001年10月13日(土) 貴女の心はどこにありますか





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