< 想いが在るから抱けないのでしょうか >
其の想いが、 其の振る舞いが、 相手に伝わらぬ時が在る。
其の行動が、 其の判断が、 相手に響かぬ時が在る。
夜中に始まる諍い。
意図とは完全に裏返しの結果を前に、 相手が号泣したとしても。
其れに答える術は、 生物の本能より下位組織には、 存在し得ないから。
奴と彼女の二人の時間。
既に互いが、 恍惚の域に足を踏み入れ掛けた、 其の直後に。
「止めようよ。」 「止まらないよ!」
「明日に影響しちゃうじゃない!」 「関係無いから。」
「駄目!」 「此処で止めろって言うのか?」
明日奴が、 大事な闘いを控えているから。
自身の欲望で、 其の体力を奪いたく無い。
そう想うからこそ。
敢えて行為を中断すると言う手段を、 選択した彼女。
彼女の想いは、 奴に届かぬ筈は無いけれど。
「触るなよ!」
「嫌いになったの?」 「背中向けないで・・・」
不安に恐れ嘶き号泣し、 一糸纏わぬ其の姿で、 必死にしがみ付く彼女に対して。
奴は何れ丈、 複雑な想いを抱いたのかな。 |
2003年10月11日(土)
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