< 最初から相応しい相手ですか >
違いの在る二つの個体を、 一つの集合体に変化させるのだから。
角が取れ、 丸みを帯び、 且つ、 隙間無く重なり、 寄り添う迄に育つには。
何度と無く、 其の角で傷付け合い、 其の隙間風で風邪を患い、 重心の偏りで他方へ転がり。
そして混じり合う。
天然の雨風が、 人智を超える大峡谷を創るが如く。
想いの流れが、 時の刻みを要求するのだろうか。
別々の個体が、 別々の個体として産まれ出づる理由は、 自然の摂理に適う物。
初めから一つの集合体に成れる程、 個体差は小さく無い。
「俺だって彼女に値する男かなんて自信無いけれど。」 「俺の彼女に対する気持ちには自信有るからさぁ。」
「それは彼女も同じでしょ?」 「お前に対する気持ちに自信なきゃ、お前は選べないよ。」
事の核心は、 奴と彼女の想いであって。
奴が彼女を想い創った物も、 彼女が奴を想うが故に創った物も、 二人が共有する想いでは無く、 個々が勝手に産んだ虚像じゃないのか。
相手を想う故に。
「本当に私で良いの?」 「自信が無い・・・」
悩み、 惑い、 乱れ、 揺れ、 そして離れる。
其の想いは、 真実に近いのかも知れないけれど。
想いを介して創られた、 核心とは掛け離れた物だと想うんだ。
初めから、 相手に相応しい人間で在る。
いとも簡単に、 相手に相応しい人間に変わる。
そんな事が在り得ると想うなど、 痴がましい事なんだよ。
---------- References Sep.23 2003, 「運命は他に在るのでしょうか」 |
2003年10月05日(日)
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