香辛料の効き過ぎは、 お互いを駄目にしてしまうけれど。
其れが無ければ、 お互いを怠惰にしてしまうから。
胡椒少々塩少々は、 お互いの努力に結び付く可能性を秘めた、 必須な物だと思うから。
「秘密」と言う香辛料では、 其の効き目に、 お互い参ってしまうだろうけれど。
「内緒」程度の香辛料を、 少し御洒落に振掛けてみようよ。
「にやっ。」
貴女からの文に、 こう答えた。
「内緒。」
貴女からの電話には、 そう答えた。
俺と小さな彼との間で交わされた、 受話器越しの会話の後に。
貴女から届く、 迫力の無い詰問。
「小さな彼と何話してたの?」 「彼に聞いても『にやっ』ってするだけなんだもん。」
俺だけが小さな彼に嫉妬するのは、 少し悔しいから。
たまには貴女も、 本気で息子に嫉妬してよ。 |