確信に近いと自信を持ちながら、 其処には踏み込めない。
「今日はデートだったの?」
「なんで?」 「相手居ないもん。」
敢えて迂回経路を辿って、 何の事は無い、 一つの話題を受話器に送る。
「テレビ見てたんでしょ?」 「常総だったね。」
「そうそう!」 「かじりついて見ちゃったよ!」
過去か?
会えば必ず、 野球の話をしたあの頃が。
お互いが、 遅々として距離を縮められずに、 心地良い距離感だけを、 何となく感じて居たあの頃が。
常総と言う単語で、 否応無く浮かぶからなのか?
高が此れ式の話をするのに、 何故此処まで戸惑いが在るんだ。
違う。
分相応の領域を超えて、 言葉を掛ける事になるかも知れない。
其の推測と覚悟で、 単に俺が、 常に動揺して話をしているだけだ。
御節介紛いの心配だと理解しながら。
放って置けないなどと、 馬鹿な粋がりを振り翳そうとしている俺が、 意識し過ぎているだけだ。
「責任が無いから良いんじゃない?」
既に二十日も前なのに。
君の吐いた言葉が、 どうしても消えてくれないのに。
「これからデートなんだよ。」 「ふふ。」
態と其の言葉を残す君が、 完全に作戦勝ちだ。 |