色や形や音達は、 多種多様な流れに乗って少し寄り道をしてから、 想いの核へ届けられるけれど。
其の匂いは、 直接中枢へ飛び込んで来るから。
視覚や聴覚は、 情報の選別を経由してから、 感情の核へと届けられるけれど。
嗅覚からの情報は、 短絡的に事を起こすと言うから。
貴女の香が側に居るだけで、 鮮明に記憶が蘇って来る事など。
生理学的に正確で、 疑問の余地さえ残らないのかも知れないけれど。
人類が獲得した複雑な処理能力と、 動物に固有の本能的な反応と。
何れが勝っているのかと、 貴女へ問えば。
「小坊主って太陽の匂いがするよね?」
「何だって?」
「洗濯物干して部屋に取り込んだ後の匂い。」 「部屋に取り込むと太陽の匂いとはちょっと違うの。」
「・・・」
其の奇特な感性を、 どの様にして手に入れたか。
より複雑な命題を突き付けられそうで、 全てを投げた。
貴女は洗濯の度に。
何度も何度も、 同じ匂いを想い出して居るのか。
何度も何度も、 俺の匂いに触れて居るのか。
俺は最近、 貴女の香に触れていないから。
記憶が薄れそうだよ。
---------- References Jun.11 2003, 「早く我が家に来られませんか」 Dec.25 2001, 「俺の匂いは残っていますか」
---------- Acknowledgement I was impressed by this diary. Thank you very much for your collaboration, あげは. I am glad MAME-chan came back! How are your naughty guy? |