< 想いを返せぬ時なのでしょうか >
常に離れた土地に住んで居たとしても。
例え僅かであっても、 お互いの距離が遠ざかる時の存在は、 耐え難い事なのだろうか。
遠距離が更に遠距離と名称変更されるのみで、 お互いの生活には、 何の違いも齎されぬ変化だけれど。
「小坊主はもう移動してるの?♥」
「気をつけてね〜♥」
「ねぇ♪」
「何してるの〜?」
「移動中?」
徐々に消え行く、 言葉に乗せた弾む想い。
徐々に消え行く、 愛の象徴と言われる印。
普段の住処より遠くに離れて居た俺が、 出張から戻ると言うのに。
嬉々として贈られる貴女の文に、 繰り返し贈られ続ける貴女の問いかけに、 俺は一度も応えなかった。
暴発する寂寥感と、 擡げる不安感。
貴女の惑いは如何許りで有っただろう。
けれども。
何も貴女だけでは無いのだ。
其の想いを抱いたのは、 貴女だけでなく、 俺自身もまた同じ想いに有ったのだ。
携帯に食事をさせながら、 滞って溜まってしまったメールを、 再度受け取り、 次々に読み進んで。
貴女の変わり様が、 貴女の落胆する顔が、 脳裏に浮かんで思わず笑った。
今電話するからね。 |
2003年06月22日(日)
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