< 早く我が家に来られませんか >
声が無くとも。 文字が無くとも。
ふと貴女の存在を、 近くに感ずる時が在る。
局部を締め付ける、 圧迫感が消えた後も。
壁に残る衝撃が、 薄れてしまった後でも。
お互いが寄り添っている錯覚を、 感ずる時が在る。
香。
嗅球を擽る分子の悪戯。
初夏の若葉の様な爽やかな香りが、 貴女の文から漂って来る。
「昨日小坊主が側に居る気がしたの。」 「小坊主の香りがしたんだよね〜。」
今朝は気分良く、 一日の始まりを迎えられたと言うのに。
「今日も小坊主を感じる事が出来るかな?と思ったけれど・・・」 「クンクンしすぎで鼻が痛い・・・」
笑い話に終わって仕舞うのは、 俺らの宿命だろうか。
貴女があの時、 そっと封筒に託した匂いは、 時々蘇るけれど。
貴女の悦びが沁み込んだ筈の、 床の泉からは。
既に何も捕らえられない。
---------- References Oct.23 2001, 「終わりの予感がありましたか」 |
2003年06月11日(水)
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