< 何故出来ないのでしょうか >
形有る物は、 何時か壊れ行く。
形に拘り、 其れよりも貴重な物を失う事など、 在ってはならないから。
「携帯に付けてたお揃いのストラップも流しちゃった。」
不注意から、 下水の中へと消えて行った貴女の携帯。
俺と貴女の繋がりに一翼を担っていた形は、 二月程前に一度消えた。
流れた物は取り返せない。 消えた物を手元に戻す術は無い。
事実に向き合わねば、 お互いの想いも進まないのだ。
「物に拘らなくても良いでしょ。」 「大切なのはお互いの想いでしょ。」
あの時貴女に伝えた言葉には、 一点の曇りも無い。
けれども。
想いも亦、 不変では無い。
時には固化して意固地な姿を保ち続け、 時には液体の様に姿を流動させ、 様々な姿を、 互いに魅せ付け続ける。
自身を見失わない為の、 自身の弱い心を支える為の、 拠り所として。
何らかの形を欲して、 何が悪い。
想いの一翼を担う形が、 消えたと言う事は。
想いの翼を捥がれたと言う事実に、 他ならないのだ。
貴女に対して俺は、 想いを逆撫でられたと認識したのか。
貴女の想いの何処を信じたら良いのかと、 絶望感を記憶したのか。
まさか俺は、 怒りを覚えたのか。
「読み返して元気が出るメール。」 「またいっぱい頂戴ね!」
「今度お揃いの物買おうね♪」
良く良く想い返せば、 貴女の言葉に何一つ応えてない事に気付く。 |
2003年06月04日(水)
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