< 少し塩辛いでしょうか >
父親だろうか。
彼の前に久々に現れた、 年相応の男に。
小さな彼は父親を重ねて、 甘えているのだろうか。
友達だろうか。
貴女の一人の友人として 俺を迎えているのだろうか。
それとも自分の友として、 俺を歓迎しているのだろうか。
恋人だろうか。
母親が好意を持つ男に対して、 決して母が嫌われぬ様に。
自身で出来る精一杯の心遣いを贈ろうと、 必死なのだろうか。
貴女の声が、 心なしか弾んで聞こえる。
「小さな彼が作ったんだよ!」
小さな彼の心遣い。
きっと涙を隠し味に、 小さな彼の想いが詰まった一品。
どれが正解でも良いんだ。 答えが一つで無くても良いんだ。
想いの解釈など後回しで、 先ずはこの想いを、 正面から受け止める事が必要なんだ。
目覚めの食卓には、 少しだけ不恰好な卵焼き。
お皿の上で、 丸く丸く自己主張していた。
今はこの幸福感を、 良く良く味わって食べよう。 |
2003年06月02日(月)
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