愛しい相手を嫉妬で狂わせたいと、 そう願う事がある。
相手を嫉妬させる事で、 自分への想いを確かめる為に。
相手の嫉妬の程度で、 自分への想いを推し量る為に。
想いを確認して、 刹那の安心感を得たいと願う時がある。
後に必ず、 「後悔」と言う言葉が身に凍みる事を、 例え理解していたとしても。
純白の記念日。
「お返しいっぱいもらっちゃった♪」 「倍返しかな♪」
嬉しそうな貴女の言葉に、 俺は子供の様にそっぽを向いて、 嫉妬心を露にした。
貴女の狙い通り。
皆に配り歩いた義理の菓子と、 自分がもらった愛の証。
皆から届いた義理のお返しと、 貴女の手元には、 未だ届いていないであろう俺のお返し。
比較の対象にすらならない事を、 並べて比べて、 俺はますます嫉妬で気を狂わせる。
「ごめん・・・」 「ヤキモチなんか妬かせなければ良かった・・・」
貴女の口から零れ出た、 後悔の弁。
どうして後悔なんてする?
貴女の思い通りに、 俺は嫉妬しているじゃない。
貴女を独り占めしたくて、 それが叶わなくて、 子供の様に地団駄を踏んでいるじゃない。
メールなんてしない、 電話も早く切れなどと、 貴女に八つ当たりしているじゃない。
俺がヤキモチ妬きである事を、 貴女は良く知っている。
小さな彼が母に甘えるその仕草にすら、 俺は嫉妬して来た事を、 既に忘れたなんて言わせないからな。 |