引き分けに持ち込むのが関の山であり、 分が悪いのは俺の方だ。
「俺だって欲しいんだよ。」
この言葉を既に口にしている俺には、 勝ちを主張する力など、 持ち得ないのだ。
貴女は笑いながら、 勝ちを主張する。
「我慢比べはどうなったの?」 「入って来たのは小坊主だからね!」
俺は苦笑しながら、 分けを主張する。
「俺は欲しいよなんて言って無いけれど?」
「ずるい・・・」
こんな時には、 攻撃は最大の防御なんだ。
自信たっぷりに振舞って、 貴女を不安に駆らせれば良いんだ。
「じゃぁしなくて良かったんだ。」
「なんでよ!」 「私だって欲しかったよ・・・」
「ねぇねぇ、今、何て言ったの?」
「ずるい・・・」
対等の立場にお互いを戻して、 俺と貴女の会話は、 今日は終わりを告げるのだ。
違うよね。
貴女の手紙に書かれた言葉は、 お互いにとって、 とても大切な事だから。
貴女の言う事は、 片時も忘れやしない。
こうして俺が、 貴女と戦っている時も。
もちろん俺が、 貴女を抱いている時も。
貴女の手紙に書かれた言葉は、 お互いにとって、 とても大切な事だから。
片時も忘れやしない。
「お互いがお互いを求め合ってるのに。」 「我慢比べはないよね・・・」 「勝った負けたじゃないもんね。」
貴女がこの言葉を俺に届ける前から、 貴女の気持ちは伝わってる。
貴女がこの言葉を俺に届けなくても、 貴女の気持ちは伝わってる。
だから今は、 二人の楽しく甘かった時間を想い出して、 二人で満喫しよう。 |