雲間の朝日に想うこと


< その涙は何色ですか >


長さの違う波が、
幾重にも幾重にも重なった流れ。

大きさの違う粒が、
幾重にも幾重にも鏤められた空間。


目の前に漂う奇跡の色は、
一つ一つの波を、
一つ一つの粒を、
何層にも紡いだ自然の結晶。









想いの数々が、
幾重にも幾重にも重なった流れ。

人が織り成す魅惑の流れが、
一つ一つの想いを、
何層にも紡いだ心の結晶だとしたら。





光と水の気紛れが空に渡した、
七色に煌く橋の様に。

貴女の頬を伝う涙の色が、
見えれば良いのに。













 「小坊主のコト思い浮かべてたら、涙がぽろり落ちゃった。」
 「悲しいとか寂しいって気持ちじゃなく、愛しい気持ち。」













違う。

貴女の涙は、
そんな色をしていない。




寂しくて寂しくて、
遠くて遠くて、
逢いたくて逢いたくて、
欲しくて欲しくて。

こんな想いを幾重に重ねても、
愛しさにはならないはずなのに。













俺の問いに返らぬ答え。



 「小坊主・・・」

 「泣いてるの?」
 「何が不安なの?」



受話器の先に揺らめく貴女の声が、
また涙色に染まっている。

涙の色が見えたら良いのに。


2003年02月09日(日)


----------
History
2002年02月09日(土) 想わせる事が罪ですか





Add MyEnpitu

小坊主
MAIL