< 戸惑いの真の理由は何ですか >
嘘から出た誠。 格言の上では成立する戒めの言葉。
願う気持ちの強さが有れば、 誠の姿に変われる嘘かもしれないけれど。
虚言から出た真実。
心にも無い虚実が、 翌日には現実味を帯びて目の前に現れる事など、 どうして想像出来ようか。
「近所に引越したらどうしよう?」
友人にただ、 その気も無い冗談を一言吐いただけなのに。
何も接点の無い上司の口からは、 出るはずの無い言葉が洩れた。
「小坊主、行く気があるか?」
上司の言葉は、 昨日の嘘をたしなめる罰だと思った。
上司の言葉は、 昨日の嘘を利用した罠だとしか思えなかった。
嘘が無ければ、 受け入れられた話なのだろうか。
降って湧いた話に、 戸惑うばかりで何も浮かんで来ない。
急な決意を強いられる話に、 漠然とした感覚しか感じられていない。
「チャンスはふわっとやって来るんだ。」 「それを掴むかどうかは別として。」
耳に響き続ける上司の言葉に呼応して、 貴女の言葉も木霊している。
「ついて行くから。」 「私も行くから。」
貴女の言葉を確信しながら。
瞼の奥に浮かんで来る。
写真でしか見たことの無い、 小さな彼。 |
2003年02月06日(木)
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