< 湧水を一杯もらえますか >
庭に土足で踏み込んで。
敷き詰められた芝生も、 無造作に生えた雑草も、 一緒くたにして踏み荒らす。
部屋の壁を叩き壊して。
並べられた硝子細工も、 飾られた額縁も、 一緒くたにして引っ繰り返す。
他人の心を無理やり抉じ開ける事など、 例えどんなに近しい人ですら、 許されざる事なのに。
近付いて来る物体が、 貴女とわかると。
突進して来る物体が、 貴女とわかると。
其れが無謀で、 余りに心配で、 扉の螺子を少しだけ緩めてしまう。
殻を閉じて、 馬鹿みたいに一人で抱え込んで。
そんな行為など、 貴女の直滑降の前では無力だと、 早く俺も認識すれば良いのに。
「何でも言ってよ。」 「一人で悩んで考え込まないで私に話してよ。」
「頼りないけど、私を頼って欲しい。」
貴女へ問えば、 問題が解決するとは想えないけれど。
貴女へ問えば、 答えが返って来るとは想えないけれど。
貴女の魅力は他に有って、 とても頼りになる。
「手羽先って怖いよね?」
貴女の不可思議な言葉を聞くだけで、 貴女の不可思議な思考に触れるだけで。
俺はまた、 闘う力が湧いて来る。
貴女は他に無くて、 とても頼りにしている。 |
2003年01月17日(金)
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