< 箱を開いて良いですか >
仕立ての服に、 初めて袖を通す時。
自分を着飾る事に、 照れを覚えた。
果たして自分に、 この衣を身に纏う資格が有るのかと。
果たして自分は、 この衣を身に纏って良いのかと。
降り積もった新雪の上に、 初めて足跡を残す時。
自分の行為に、 罪悪感を覚えた。
果たして自分に、 この景色を壊す資格が有るのかと。
果たして自分は、 この風景を独り占めにして良いのかと。
使いたいからこそ、 欲しいとねだったのだけど。
新品のまま残したくて、 汚してしまうのが惜しくて、 なかなか使えなかった。
「なんで?使ってよ。」 「年明けてから使うから。」
口ではそう答えたのに、 年が明けても箱に入ったままだった。
貴女から贈られた財布。 聖夜の贈り物を手に取った。
今日がその時だと想ったから。
今の俺に、 力は無いかも知れないけれど。
今の俺に、 資格は無いかも知れないけれど。
贈り物の力を借りても良いよね? 貴女の力を借りても良いよね? |
2003年01月15日(水)
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