炬燵で紅茶を飲みながら、 貴女を想い出した。
子供の帰りを待ちながら、 貴女を想い出していた。
初めて小さな彼を見る時に、 俺はどんな風に振る舞うのだろうか。
子供が食事をする様子を眺め、 二人で顔を合わせた。
子供が遊ぶ様子を見守りながら、 二人で顔を見合わせた。
初めて小さな彼と逢う時も、 こんな雰囲気の中に居るのだろうか。
友人の新居を訪問した。 母子家庭の新居を訪問した。 初めて子供と対面した。
息子が一人。 離婚をしたばかり。
友人と貴女の状況は、 ほとんど一緒。
友人に貴女の姿が投影される。 息子に小さな彼の姿が写し出て来る。
緊張感が顔に出ないよう、 必死に平静を装った。
「忙しい?」 「電話できるかなぁ?」
貴女から届いた言葉。 貴女が珍しく口にした言葉。
「どうした?」 「何かあった?」
ちょっと焦ったふりをしたけれど。 ちょっと心配なふりをしたけれど。
本当は待ち望んでいた。 本当は待ち遠しかった。
貴女の家の空間が欲しかった。 |