にゃんことごはん
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 気になる子

今日は日曜だったので、バスで10分ほどのスーパーに行った。そこには、ペットショップもあって、たまに猫砂を買うのに利用する。今日も、覗いてみると、冬生まれのアメショーのオトコの子が、まだ売れ残っていた。最初は、10万円ぐらいだったと思う。先月ぐらいだったかに見たときは、68000円だったと記憶していたのだが、今日見たら58000円になっていた。

ブラウンタビーなのだろう。ちょっと茶色がかった毛色で、足も太く大きい。きっと、がっしりと頼もしいアメショーらしい成猫になりそうな子なのに。なんだか、年をとるずつ値引きされていく、というのが、女性の市場価格(笑)のようで、切なくなってくる。

実は、ショータローは、このペットショップで買った子なのだ。猫を、お金をだしてペットショップで買うぐらいだったら、その分を里親探しの活動をしている方に寄付しよう、というのを信条としていた私が、ショーを買ったのには、ちょっとしたいきさつがある。

ちょうど去年の初春ぐらいのこと。ニャンをインターネットの里親募集で譲っていただいて、ちょうど3ヶ月ぐらいだった。4月になると、リュウも進級して学校から帰ってくる時間が遅くなるし、私はそこころ、仕事で外出が多く、日中、ニャンだけになってしまう。かまって攻撃の激しいニャンと一緒に遊べるお友達が欲しいよね、と、里親募集のサイトをいろいろ覗いていた。
猫を飼うのはニャンが初めてで(子どものころも犬は飼ったことがあっても、猫はなかった)、どんな子でもオッケーよ、と言えるほど、飼い主として自信がないこともあり(いや、今でも自信だけはあるものの、本人の思い込み、という面が多々……)、まあ、そんなこんなで、「この子だったら」と思った子猫を見つけるのに、時間がかかった。
で、やっと出会えた子は、二カ月ぐらいの男の子だった。写真をリュウにも見てもらって、里親募集をされている方に、当時としては、けっこう決死の覚悟でメールを送ったわけだ。

そのとき、いただいたお返事を要約すると。
私が猫の飼い主としては初心者だということを配慮された、基本的な注意事項のあと、次のようなことが書かれていた。
・猫は一匹で飼っていると、やはり寂しそうである、だから、お友達を、というのは、とてもいいことだと思う。
・でも、男の子同士というのは仲良くなりにくいので、お薦めしない。
・メスの子猫を保護している知り合いがいるので、希望があれば写真を送る。

確かに、オス同士は縄張り争いのようなことになると大変という話も聞くが、いろいろなサイトを見て回った限りでは、去勢手術をしていたら、それほど気にしなくてもいいような印象だった。むしろ、多頭飼いをしている方の話を聞いたり読んだりすると、オス同士の仲の悪さよりも、メス同士の仲の悪さのほうが深刻、という事例のほうが多いというのが、私の印象だった。

当時、まだ子猫だったニャンに、同じペースで遊べる活発なオスの子猫が欲しかったのだ。人間と猫を一緒にするのはどうかとも思うのだが、リュウを見ている限りでは、オスのほうが群れて遊びたがる傾向があるように思ったこともある。
大人になって仲が悪くなっても、精一杯遊びたい子猫の時代に、一緒に遊べる子がいてほしい。大人になって仲が悪くなったなら、部屋を分けてもいい、とさえ、思った。そこには、子ども時代がかけがえのない時代なのだ、と、これもまた、リュウの幼年期を見ていて思ったことも、関係しているかもしれない。

猫飼い歴が少し長くなって、里親募集もいろいろ大変なのだということがわかった今だったら、その方の対応も理解できる面もある。でも、初心者だった私には、とても事務的で冷たい対応に思えてしまったのだ。
そんなわけで、せっかくのご紹介の話はお断りして、ニャンはリュウや私がいっぱい遊んであげればいいね、ということで、二匹目の話はなかったことにした。

そんな矢先、フードを買いに入ったペットショップで、ショーを見た。小さくて、活発で、「可愛いね」と見ていた私たちに気づくや否やこちらにやってきた。そして、一生懸命手を伸ばして、ガラスをひっかくのだ。
私たちが、ちょっと移動すると、子猫の手も移動する。そうやって、30分ほどもガラス越しに遊んで、リュウはすっかり「飼いたい」モードになっていたのを、「子猫なんて衝動買いするもんじゃないんだから」と言い聞かせて、買い物を終えて帰宅した。
今も忘れない、春先の冷たい雨の降る日だった。

ところが、家に帰ってから、どうしても、あの子の目が忘れられなくて、「やっぱり、飼おう」と決めて、またペットショップに戻ったのだ。ケージから出してもらった子猫は、抱き上げた私の腕のなかから這い出して、肩に上った。まだ、両手におさまるぐらいの子猫だった。
ショーは、運命の猫だったと思っている。

その後、あっという間に猫が増えて5匹になったのが運命だったのかどうかは、私の知るところではない。

まあ、そういう曰くのあるペットショップなので、月に一度程度、覗くかどうかという感じではあるが、行く度に覗いている。くだんのアメショーも、ショーぐらい小さいときから、ずっと見てきている。もう、だいぶ大きくなった。リュウは「ねえ、飼おうよ」と言う。「可愛いから、きっと飼い主さんが見つかるよ」と答えつつも、売れてくれるのだろうか、と気がかりでならない(ペットショップで売れ残った子たちの行く末は、動物実験らしい、という話も聞く。リュウにはとても言えない)。でも、一方には、今も里親を待っている猫たちがいるのも、私は知っている。そして、我が家には5匹の猫。

なんて、自分は無力なんだ、と思うのは、こんなときだ。

◆無力でも毎日、おなかはすく。今朝は、ご飯の支度をする気力がなくて、シリアルと牛乳、果物ですませてしまった。昼は、買い物ついでに外食。そのかわり、リュウの部屋の大掃除を慣行。何年もとってある漫画雑誌を「捨てろ!」と言えないのは、私が、そうだから、なんだなあ。こまったものだ。

* 夜−豚肉生姜焼き、キャベツとニラの炒め物、トマトとポテトのバジル風味、ベビーリーフのサラダ、塩えんどう豆、ワカメのスープ






2001年07月01日(日)
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