かたほうだけのパンプス
敦子



 旧校舎

今日も何もない為自炊ショートショート小説



「旧校舎」


暗い長い筒のなかを下降している。加速して着地に向かい今も下降中。

わー。

手のひらで胸を押され淵から下降は始まった。

わー、

僕は校内の旧校舎の裏に呼び出された。
そこは立ち入り禁止だが、上級生からの呼び出しや人目を避けるのにかっこうな場所だった。

取り壊しは決まっているがいつになっても旧校舎の取り壊しは始まらなかった。

僕は、人に隠れて取り引きをしていた。
毎月一回、取り引きのために僕はここへ来ていた。
誰か先約がいてなかへ入ることが出来ないときは、時間をずらしあたりが白けてきた明け方にここで落ち合うのが常だった。

僕は情報を売っていた。
引き換えに金を受け取っていた。
でも今回は、これで辞めたいと言い金を受け取らないことにしてまだ家族が眠っている明け方、家をしのび出た。

僕が取り引きをすることになったのは•••

高校入学からしばらくして家庭の事情で転校したこの学校に馴染めずにいた。

高校の転校なんてあまりないから周りからの特異な視線に耐えられなかった。
授業をサボって見つけたのがこの旧校舎。

旧校舎の中に入ってみると意外ときれい。たまに蜘蛛の巣がはっているけど手入れすればまだ使えそうだ。

それから僕はたびたび旧校舎へ入り時間をつぶした。

転校して半年が経とうとしてた秋。文化祭の準備中クラスメートと意見が対立した。おもしろくない僕はしばらくぶりに旧校舎へ立ち入った。

がここへ来た少し前に誰かがここにいたらしく床にキラッとひかるものを見た。

小さな鈴のついたチャーム。
あれっ、女の子のものかな。
僕はそれを拾って校舎から出た。

「待てよ」
誰かに呼び止められた。
振りむこうとすると背中に何かがあたり振り向けなくて背後の誰かの声を聞き続けた。


「チャームをよこせ。
何も見なかったことにしろ。」

「お前のクラスにMがいるだろう。Mの動向を知らせろ
引き換えにご褒美やるからいいな」

最初はご褒美って殴られたりひどいことをされるのかと思った。
違った。
僕がいじめられないように学校生活が円滑に過ごせるようになんとかしてくれた。
そして少しお金をくれた。

Mは学校に来たり来なかったりするし非常につかみどころがない奴だ。
学校生活がテキトウなのに成績がよく不思議だった。

でも僕は気づいてしまった。
なぜいじめられないように僕を守ったりお金を掴ませてまでMのことを知らせなくてはならないか。

最初に拾った女の子のチャームといい、旧校舎がいつまでも取り壊されないでいるワケといいそしてMのこといい。

僕は転校生だから何も知らない。この街のこと、クラスメートの中学校時代のこと、
この学校に僕が来るまでにあったことに。

僕で都合がよかったんだ。
学校の小さなクラスでのことだけどみんなは知っていて僕だけが知らずにピエロじゃないか。

Mはそんなに悪いわけじゃない。
Mを悪者にしたててみんなの関心を流動していたんだ。
僕はスパイの一人として動かされていたんだ。
それは女の子のチャームを取り上げ、僕に金をつかませ、いじめからは守るということで片棒を担がされていたんだ。

全てがわかった僕は今も暗い筒を下降中。






2018年11月26日(月)



 冷めたキャンドル

※何もトピックスがない私の投稿は今日も自炊ショートショート小説です。

未成年だということを隠して働いているナイトバー。

カウンターは人気のマジシャンのテーブルマジックで湧いている。

奥のテーブル席に静かに中年美女がひとりいた。

その人を見るなり、普通では感じない身体の未知の感覚が震え出した。

どっかで見たことがあったかなぁ。
その人に注文をとりに行く。

テーブルのキャンドルのアロマが気にいらないから取り変えてくれ。

と言われアロマのキャンドルを探して持って行った。

キャンドルに火が付くとアロマの香りとともにそこだけのゾーンが浮かびあがるよになっていた。

匂いとキャンドルの炎で立っている感覚、その人の存在が現実のものと何かちがっていた。

その人が
「わかる?」 と言ってゆっくりとまばたきをして白い手をグラスにのばした。

だんだんその人が誰でどこで以前会ったか遠い記憶が蘇って来ていた...

そのとき
カウンターの奥から
「オ―イ」 と呼ぶ声がしてその声に反応した途端、その人との不思議な空間は壊れてしまった。

我にかえった。
その日夢のなかに店にいた中年美女の客が現れた。

彼女は友達の母親だった。
友達が亡くなったことで私たちは会っていたのだった。

友達が最後に残した手紙に書かれている人のことを私に尋ねようとしていた。
夢はそこで終わった。

会話の続きを現実の世界で夢より前に見ていた。

夢の内容の前後が入れ替わって私をとりまいていた。

そうか、友達は死ぬのか...。

長い夏休みが終わってナイトバーで働くのを辞め学校に戻った。

友達は元気で学校に通って来ていた。

友達は死んでいない。


学校での私はナイトバーで働いていたせいか、学校のなかに馴染めなくなっていた。

みんなの声が耳鳴りのような感じに聞こえてくる。疲れているのかなぁ?

キャ―キャ―ワイワイと楽しそうな学校。

静かなトイレで
「そいうえば、あなた亡くなったんだよね」と言う声が聞こえた。


2018年11月25日(日)



 誰にも知られないはず

昨日につづきショート、ショートストーリー。

「誰にも知られないはず」

あのことを知っている人はあまりいない。
クラスのなかのグループで、あの日あの場に居たメンバーだけ。
4年前にひとりがガンで死んだから、知っているメンバーがひとり消えた。
もうひとりは、アメ リカに行った。
もう一人とは音信不通だが、フェィスブックで見かけたので心配 だ。
でも知らないふりを押し通そう。
いつだったか酔ってあのことを言いそうになったことがあった。
言ってしまったのかもしれな い。
でも酔ったときのことだからみんな本気にとってないだろう。
そんなことがあってから まったく酔えなくなった。

ゲームのアプリ知ってる?
そのゲームは、あのときのことを再現しているみたいで怖 い。
アプリの作者は、まるで知っているかのようにあのことにゲームはよく似ている。
電車の隣に座った見知らぬ人がゲームをしていた。
私たちは誰にも言わない。誰にも言えない秘密を共有したはずだ。
カフェでも、スーパーマーケットでも、ゲームをしている人を見かけた。
どうしよう。
ピーン、ピーン。
ドッシャン!ゲームの音が聞こえる。
音の設定が小さくてもゲーム音は鮮明に聞こえてくる。
あのとき、あんなことをしなければよかった。
でもやってしまった。ヤル気はなかった。
成り行きだった。
誰も知らないはず。
誰にも知られないはずだった。
たった一度のあのことが何年も経ってみんなが離れ離れになってもあのときを思い出してしまって苦しい。

あの場所は卒業後、壁に埋め込まれていた。
私たちの学校は、夏休み、春休み毎に少しずつ空き教室や使われない部屋などを埋めていた。

どういうわけで埋めているのかわからない。
きれいに埋められた場所はだんだん増えていた。
あの日の夕暮れ、誰もいなくなった空き部屋に私たちは居た。
あのことが起こり、とりあえずみんな家に戻り朝早く学校に行き塀をよじ登って忍び込み私たちは壁を埋めた。

私はゲームのアプリをダウンロードして、すぐに押した。
「ゲームオーバー」のボタンを。


2018年11月24日(土)



 父の一周忌

父の体調が急変し死が現実的になった丁度一年前に書いたものです。

「父はなかなか亡くならない」

喜ぶべきなのか、めんどくさいのか今の心情にあてはまることばがみつからない。
母と弟が待機してる実家へ群馬から行ったり来たりしているこの頃。

母と弟は、一生懸命介護していた。
私は介護は何も出来なかったけれど、父の足跡をたどり受け継ぐことをライフワークとすることにした。

母と弟は、充分すぎるほど介護の大変さを味わった。
医療、介護制度に対する恩恵と不足。感謝と同じように介護、育児、身障者介助に対する共感。

母と弟は、父を見送ることで介護が完了としているから、まだ生きてはいるけれども、もう人生は終わり死の淵にある父のわずかな時間を普通の生活を送っている。

生殺し状態だね。
元気で反応が良くて機嫌がうかがえるようだったら長く生きてほしいと願いを切り替えるよ。

いつ息を引き取るのか、もんもんとただ待ってるだけの今って身内にとっていったいなんなのだろう。


2018年11月23日(金)



 ミラーパーソン

ショートショートショート小説

イイね!

いつも必ずSNSにイイねしてくれる人がいる。

誰も見てくれてないとあきらめて落ち込んた
投稿でもイイねは押してくれる。

ある日、間違えてボやけて判別不能の画像を投稿したときも投稿直後にすぐにイイねはついていた。

反射よくすぐにイイねしてくる人。
この人誰だっけ。
イイねの人を知りたくなった。

あれっ。この人誰だろう。
名前は、「穴田羽 渡史」
なんて読むんだろう。
いつ、友達になってたんだっけ?

顔画像を指で広げて確認してみた。

あー、嘘?!

画像は私の反転した横顔だった。
名前を考えながら読んでみると
「穴田羽 渡史」
あな、た、はね、わたし、あれっ、わたふみかなぁ?

あー、「あな、た、は、わたし」かもしれない。
えー、どういうこと、誰、誰なの。

何なの、いったい誰なの?

あなたはわたし???って?

いやだ不気味。

そうだこの「穴田羽 渡史」さんにメッセージ書いてみよう。

返信で誰かわかるかも。

穴田羽 渡史さんへ
あなたは誰ですか?
いつ何の関係で友達になったんだったけ?

ダイレクトメッセージを発信した直後すぐに返信があった。

わっ、やっぱ早いな。
読んでみよう。

「このメールはあて所に尋ねあたりません。あなたはわたしじゃない」

え、何これっ。

怖くなり、不信になってSNSサイト規約を読んだり、他の友達に聞いてみたりあわてた、

しばらくSNSサイトの表示ボタンをあっちこっち推しまくっていた。

何だろう。
しばらくいじっただろうか?
SNSサイトから離れ、ブラウザからいろい検索してみた。

するとある言葉が引っかかった。

ミラーパーソン。

ミラーパーソンをウィキってみた。

鏡に映ったパーソン。

あっ、思い出した。
誰もイイねないとSNSやるはりあいがないから、勝手にイイねがつく機能をだいぶ前につけたんだった。

あー、よかった。わかって。
これで不安解消スッキリ。

でも、紛らわしいからこんな機能外そう。

ミラーパーソン機能を外し方をSNSサイトの説明サイトで確認した。

えっ?!

?ミラーパーソン機能は、規約違反なため三年前に停止しました。

すでに停止してるのぉー

じゃあ私にすぐイイねつけてくれる穴田羽 渡史さんは、ミラーパーソンじゃないのぉー。

誰なの、何の、気になる。


2018年11月22日(木)



 沖縄を伏せていたこと

沖縄八重山から帰ってから慌ただしい毎日。
八重山でゲットした資料を紹介しながら、私が沖縄者だということを伏せていた理由話しました。

Instagram

八重山島唄めぐりの旅2019
2019.4.21 (日)
練馬文化センター 小ホール(つつじホール)
開場 12時30分/開演 13時
前売:2000円(小学生以下1000円)全席自由
当日:2500円(小学生以下1000円)全席自由
お問い合わせ てぃーちたーちぃ事務局050-5891-7198
ticket@tiichi-taachii.com


石垣市移住体験ツアー介護関連有資格者の皆様向け
第一回 移住体験ツアー 2018.12.14(金)〜16(日)5名
第二回 移住体験ツアー 2019. 1.25(金)〜27(日)5名
*介護職場見学・相談
*暮らし体感プログラム
*移住者との交流
*島を感じるエコーツアー
*ゆんたく体験(島言葉体験・他)
※宿泊費(相部屋)島内移動費、職場体験、レクリエーション費用は負担します。
一般社団法人ゆんたくガーデン
電話0980-87-0002
ijuu@yuntaku-g.ne.jp
HP https://www.yuntaku-garden.net/



2018年11月02日(金)
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