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■ エスパニョ―ルM子コード
M子からメールがきた。
どうやら私が送ったメールへの返信らしい。
メールを送ったのは、3週間前。私が送ったハガキへの返事だった。
M子は、スペイン語サークルの仲間。
スペイン語サークルは、市の生涯学習で行われた。
3ヶ月間の期限だったが、そのまま勉強を継続していこうと有志でサークルを立ち上げたのだ。
言い出しっぺは、私とM子。
私が、脳内出血で倒れて、会を離れた。
二年後に復帰しようとしたときには、会の状況が以前と違ってきていた。
M子が会に欠席がちになった。講師のJも遅刻したり、早退したりと、会としての存続が成り立たない状態になった。
事実上の解散だ。
M子からのメールは、おかしなものだった。
外国の絵画のルネ・マグリットのように核なる部分があいまいだった。
書きかけで未完のままに送信したような印象だった。
チョコがけのリングドーナツの、チョコ部分だけ、ミートスパゲッテイーのミートソース部分だけ、クリームソーダのクリームだけ。
上にのっかるトッピング部分だけを伝えているような内容のメッセージで、ドーナツ部やスパゲッティーのパスタ部やソーダー水部となる肝心なところ、本質の幹になる部分が抜け落ちているような感じがした。
M子は、スラッとしていてきれいな人。
まるで体育の先生のような感じの印象な人できびきびと動いて、さばさばとしている人で、ちょっと憧れていた。彼女には恥ずかしくて言えないけれども・・・。
私にないものをたくさん持っている人だと思っていた。
彼女は、心根の深い人ということはよくわかっていた。
闘病中の私に手紙をくれていた。よそへ出かけたときに私だけに土産をくれた。
彼女はとても義理堅い人だった。
でも、メールからは、几帳面で義理堅いような彼女はうかがいにくかった。
よほど疲れているんだろうか、よほど切羽詰まっているのだろうか。
気ぜわしいなかでメールを打つM子の姿が目に浮かぶ。
M子の家庭の状況のことは、うっすらと伝わってきていた。
うっすらというのは、本人の口から直接聞いたわけではないのだ。
彼女と交流があったスペイン語サークルの男性Hiroから聞いたことなのだ。
Hiroは、なぜかM子の事情に詳しかった。
講師JもM子についてよく知らないようで、Hiroから事情を聞きとっていた。
Hiroのことを書くのはこれまでにしておく。
私に送信された不可思議なメール文とは直接は関係がないことだから。
以前、HiroのことでM子に手紙を書いたことがある。
べつに悪口でもなんでもない。M子はもう忘れているかもしれない。
M子は、市内に住んでいるので、いつでも会えそうだが、私は、半身不随で一人で思うように動けない。
M子は、怪文?とも思えるような未完のメールを送信してしまうくらいにめまぐるしい忙しさのなかにいる。
だから私たちは、かみ合わない、すれ違ってしまう。
近くに居るのに、会うこともメールすることさえままならない。
それぞれの空間と時間を共有することができない状態だ。
M子、あなたのメール文は私にとっては、コード、暗号のようで謎だ。
暗号を解読してみようと思う。そうだ、まずはHiroへの接触を試みてみよう。
M子コードの解明の旅(?)は、今、まさにはじまったばかりだ。 なんとか・コードに重ねている!
2010年05月15日(土)
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