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■ 俺の背中に火をつけろ
月曜からずっと深めの風邪をひいている。 許容量オーバーの市販薬を飲んで風邪なんかひいてないことにしたせいで、お腹と背中に発疹が出まくる副作用に見舞われた。だって月曜と水曜が東京の取材で休めなかったんだよ…。 そんな中でもぎとった有給、お笑いと水族館のために名古屋に行ってきましたよ。雨のなか朝7時前のバスに乗り、最終のこだまで帰ってきた。移動で安静に寝てたから大丈夫。
■シティボーイズミックスPRESENTS‘10月突然大豆のごとく’ 2010/10/28/Thur_19:00-@名鉄ホール
2010年、GWではなく秋のシティボーイズ。楽しかった!全力で楽しかった! 7,000円というチケット代、大阪でやってくれない不満も、なにもかも帳消しになる極上の2時間。最近コントに心が動かなくて困っていたのに、あっさり首根っこつかまれて大激震でした。何が違うんだろう、格じゃないし質じゃないし…と考えていて、やっぱり演じてる人たちの楽しみ方が桁違いなんだと思い至る。よくできてるとかうまいとか、他にないとか新しいとか、そんなのよりもっと手前のゼロ地点。それが見れて私はとても幸せだった。 三木さんが引いた後、いとうせいこうがいない公演は正直あんまりだったけど、先行きの明るさに万歳したくなりました。3人のうち誰かが欠けてしまうまで、シティボーイズは面白いままいくのではないかと、今回でほんとうに強く思った。それぐらいアタリの公演。昔のアレコレを思い出す構成、設定、ブラックさと、2010年の今しかできない時事ネタとが違和感なく共にあって、あいもかわらぬシティボーイズのゆるぎなさのなかにギースとラバーガールがそれはもう‘らしく’ハマっていました。彼らがいることでシティボーイズの3人は「叱りバー」や「重厚」のように正しく‘おじさん(おじいさん)’で、「年上女房の集い」のように‘おばさん(おばあさん)’でいられる。新しくメタな設定の「脳のHDD整理」も、医者役を若い飛永が演じてるから全然無理な感じがしなかった。
詳しい内容はDVDでぜひ。1,800円のパンフレットは買わなかったけど、今年のDVDは買っちゃう。マンドラゴラ以来かもしれない。 以下、忘れないためのコントリストとメモです。
・10月突然:いもむし着ぐるみが無駄に似合う斉木さんと、夢精俳句を詠んで得意げな大竹さん。「はしゃいでる 無数の私 台風の朝」ムセイ連呼に前列のおじいさん大爆笑。10月突然クリスマス、でキリストになってるのもあったなあ。尖閣諸島、事業仕分け。そして3人はどこかの港でアフリカ行きの船を待つ。10月に何があったのか、思い出せないんです。 ・脳内HDDの整理:脳内を整理してくれる医者。Mac画面できたろうさんの脳のぐちゃぐちゃのファイルの中身をみて、さくさくゴミ箱に入れて整頓していく。ニーチェがフルーチェで記憶されていたり、ゴダールがゴーダルだったり、イチローのjpgがやたらあったり、友達の春日井のコピーがやたらあったり、コーヒー館のカレーがうまかったり、「人生とは」フォルダが全部キャベツ料理だったり。記憶の電車のフォルダには山手線の駅名を連呼するちょっと頭の弱い人=大水が。10月が捨てられて、10月が思い出せなくなる。中身を確認もせず捨てられた「若い日のオナニー」フォルダが気になるわ〜。 ・Mr.カトウ:丘の上の小さな家に住むアメリカのミュージカル風大家族。居候している受験生カトウ(有ちゃん)。父親がいない家族の電球換えや雑用を一手に引き受けさせられるお人よしのMr.カトウ。腎臓が悪い息子のために腎臓をえぐり出したのに、病気は間違いだったから要らないといわれ、家族が金を借りている家に夜中にこっそり放火したのに、宝くじがあたったから要らないといわれ、あげく父親が帰ってきたからと追い出される…。どこまでも報われないジャパニーズと、あくまで無邪気に、善意でコケにするアメリカン。日米の縮図というか寓話というか。大竹さんがドレミの歌を歌うときにだいぶ照れていた。尾関の歌声が朗々とした美声。 ・重厚:結婚式の祝儀が祝儀袋に入っていませんでした、と会社の偉い人(きたろう)に言いに来た非常識な山本君(尾関)。「君のような人間が出てくるのを待っていたんだよ!」と舞台がドリフよろしく回転し、裏から現れた座敷で大竹さんと有ちゃんが酒を酌み交わしている。「山本君のような既存の価値観・常識を破る人間を探していたのだ」という3人は実は裏で日本を牛耳っており、その上にはさらに大立者の斉木さん=深大寺様がいる。彼らの演技が重厚度を増すと舞台右に配置された「重厚」ランプが点灯します。これメタでおもしろかったわぁ。日本を牛耳ることすなわちいろんなボタンを押すことと知る。暴走するオチの斉木さんがバカバカしすぎてもう…♪ラララランドセルは♪ててて天使の羽根♪(銀色の褌一丁)←この後にまだ展開があったらしいのに、こんなのの後にもう何をやってもダメだからと1頁分の台本まるごとやめちゃったんだそうです。キッシンジャーをサリンジャーと間違うのはこのコントだったかな。とても珍しい斉木さんの突っ込み「それはライ麦畑でつかまえて、じゃ(重厚)」 ・叱りバー:いまどきの若者をポールにつかまって叱り飛ばせるバー。大竹さんがギースとラバーガールを青筋立てて怒鳴りちらすのですが、いっこうに響かない今時の4人。最高にむかつく若者の無気力なノリ、4人ともハマりまくり。特に飛永「何が生きがいなの?」うまい、むかつく。iPhoneアプリ「まりもちゃん」は私もやってるけど、「なんでだよ!?」と聞かれると…。しかし店のフロア係役の斉木さんの自由度が高すぎ、最後のほうは大竹さんの怒りターゲットが斉木さんになっていました。昔の斉木さんとそっくりな尾関さんは稽古で大竹さんに叱られまくっていたそうで、同じトーンで怒鳴られるこのコントが嫌いらしい。 ・年上女房の集い:新婚の後輩(飛永)の家に初めてお邪魔する先輩(高佐)。新妻はえらいこと年上で(※きたろうさん)、家に入るとリビングでは‘年上女房の集い’が開かれている(高「これは何の集まりですか?」斉「大麻パーティーです」ギリギリ)。大竹さんが尾関の膝枕で寝転がっていて、斉木さんの隣には大水。中村有志はフリーで、喋り方も物腰も名作「五人姉妹」と同じで懐かしい。年上女房のよさを語り合う若者3人と、有ちゃんに押されまくってドン引きの高佐。全員無音でチークを踊ったりルンバを踊ったり。常に照れて恥じらっている大竹さんがなんだかかわいいわ。ラストは会場全体を結婚披露宴に見立てた有ちゃん&高佐の晴れ姿。客席はみんな惜しみない拍手を送っていた。ウェディングドレスで亡くなった両親への手紙を読むとき、有ちゃんは毎回本気で泣いているそうです。 ・さておきクラブ:「それはさておき」でつながるコント群。アシカショーのアシカを角材で撲殺してしまったトレーナー斉木さん、押し入れにおばあさんの遺体が入っているきたろうさんに「さておきクラブ」に勧誘される。誘拐されてしまった妻をさておいた飛永、きたろうさんに「かっこいい!」と憧れられる。その妻は東急ハンズの店員に助けられそうになり、なぜか始まる「東急ハンズ店員物語」。ラバーボーイズのショートコントもおもろかった。アナログ放送のお料理番組で、寝かすために宅配に出されしまうお肉は何年かあとに戻ってきて、箱を開けたらゴロっとアシカの撲殺死体が。大竹「今日は死んだアシカのお料理です」かつての名作リス鍋を思い出す、シティボーイズの懐かしいかたち。 ・コロス(chorus):コロスは古代ギリシャ劇でコーラスのことで、「観客に対して観賞の助けとなる劇の背景や要約を伝え、劇のテーマについて注釈し、観客がどう劇に反応するのが理想的かを教える」(@wikipedia)。電車で偶然出くわしてしまった若いサラリーマン2人(飛永と佐高だっけ?)、お互い知り合いの知り合いでしかない。彼らの内心の気まずさを老齢のコロス(シティボーイズ+中村有志)が赤いマントで踊り狂いながら歌い伝えてくれる。※「おお神は見放したもうたか!!」ぐらいのテンションで。終わって倒れ込む四人、ぜえぜえと息を切らせるおっさんたちの呼気をマイクが容赦なく拾います。「布団祭り」の頃でさえげはげは言ってた大竹さんはもはや瀕死。音楽をとめるきっかけを出す飛永がなかなかきっかけを出さず、きたろうさんに踊りながら頭をしばかれていました。飛永「音楽のまだ聞いてないところが聞きたくなって」できる子だ。 ・アフリカ行きの船:冒頭の場面。アフリカ行きの船を待つおじさん3人。そこにやってきた船から有ちゃんが「アフリカに行きたいのはどいつだ!?」と降りてくるのですが、これがまるで「暗闇坂のオルガン教室」のスパルタ教師のよう。手に持った鎖は尾関の首輪につながっていて、尾関は奴隷だか珍獣だかの演技が白熱しすぎて首輪をぶっちぎってしまっていました。結局誰もアフリカに行くとは言いださず、船は行ってしまう。斉木さんがアフリカの大地に撒こうとしていた遺骨は大竹さんのミスでその場にさらさらこぼれてしまった。でも斉木さんは「いいんですいいんです」。海は1つだから、日本もアフリカも同じだときたろうさんは言う。大竹さんが「あのバスに乗って帰りませんか」と促して、終幕。なんという素敵な終わり方。 最後の一幕は本当によかった。きっと今のシティボーイズでしか出せない空気感。なんでもない言葉なんですけど、どうせアフリカに行くなら何もいらない、と手ぶらな大竹さんをみて、きたろうさんが自分の大きなトランクを恥じて捨てようとする。そこで斉木さんが「あればあったで(いいじゃない)」というようなことを言うんです。いいなあ。あれはあの年にならないと言えないこと。
斉木さんの自由度がますます常軌を逸していて、進行に支障をきたしてもなおおもしろいという超人具合でした。 また機会があれば、おっさんたちの全力のバカを見に行こう。
今週のバナナムーン。 日村さんが憧れているチンコの形は設楽さんのと若林のだということが判明しました。あと日村さんは乳首より肛門がくるらしい。
2010年10月28日(木)
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