ヒルカニヤの虎



 陰画のようにくりぬいた

iPhoneをアップデートしたらiBookアプリが使えるように。
こんな小さい画面で大丈夫かしら、と試してみたら世界の名作がタダでDLできるではないか!
赤毛のアンとかホームズとかジェーン・エアとか、ドストエスフキーだってワイルドだってディケンズだって読みほうだい。私は小学校まではわりかし正統派の読書をしていた。でも読み方はナナメだった。


今夏は西のライブにこまめに通うつもりの地元第2弾。

■‘悪いWARAI〜関西芸能事務所の集い〜’2010/06/30/Wed_19:30-@ヨシモト∞ホール大阪

なすなかにし改めいまぶーむがいなくなったさびしさに耐えられず取ったライブですが、整理番号は14番。アレ?そんなもん?
客層も内容もわからないまま大学からなんばに直行、∞ホールのパイプ椅子に適当に座って本読んでたら前後左右を成人男子(notスーツ)に固められる。しかも左右が不潔くんと社会不適応くん。こ、こんなお笑いライブ初めてだわ。ルミネの最前列3列内に座ってる眼福露出女子を座らせたら、ナメクジみたくじゅわっと消えると思います。

※ちなみにチケットに書いてあった出演者
MC:メッセンジャーあいはら
ヨシモト:ガリガリガリクソン/シャンプーハット小出水/とろサーモン村田
松竹芸能:いまぶーむ(元なすなかにし)
デリートエンターテイメント:森プロジェクト/シャトー
ケーエープロダクション:レモンスカッシュ

後半は全然知らない事務所の知らない芸人さんたちです。
ガリクソンの肝っ玉の座りすぎたツカミのあと、他事務所の芸人さんたちの挨拶がわりのひとネタ。
最初のいまぶーむがABCお笑いグランプリ新人賞をとった輝かしい「ドレミの歌」ネタをガチでやったため、みんなも本ネタをかけなくてはならない流れに。いまぶーむ以外は3〜0割ウケでした。知らないから笑わなかったのではないよ。
顔のまずさでいったらガリクソンとなすなかの中西がワンツーなんですけど、ちゃんと人前に出て見られる「芸人」の顔なんですよね。でも他事務所の4人は見ちゃいけない素人感があって、ネタ以前に空気で笑えない気が。
ちなみに那須とこいちゃんと村田はふつうに男前。

トークの大半が悪口・下ネタ・金の話などオフレコの嵐でした(※超貴重)
テーマは「これだけはヨシモトに勝っていること」「営業代」「事務所への不満」「楽屋事情・風景」「一番嫌われている芸人は?」「事務所でいちばんチン●がでかい芸人(強制終了)」「これからどういう芸人になっていきたいか」等ゲスい話題が盛りだくさんでしたが、覚えてて書けるとこだけ羅列。
吉本の芸人は何やかや言っても松竹が大好きなんだなと思う。

・パラが3回ぐらい相方たもつの話をしていて、なごむ
・いまぶーむは上京して月収が4分の1に減った
・「いまぶーむ」以外の改名候補は「神輿かつぐおろす」「扇子あおぐそよぐ」など(そっちのほうがええやん!)
・「那須のきれいな顔とガラ声のギャップがたまらない」と●門をひくつかせるこいちゃん
・その後もたびたび暴走してパラに優しく止められるこいちゃん
・デリートエンターテイメントはシャトーの元追っかけが事務所社長
・シャトーには相方がいるが、平日はダイハツでフル勤務している3人の子持ち
・レモンスカッシュの岡部にも3人の子どもが!(副業なし)
・とろサーモンの久保田はAV台本執筆の次は「久保田水産」を立ち上げてレッドビーシュリンプの養殖を始めた
・営業代の格差:レモンスカッシュの岡崎は枕をやっているという強引な結論
・ガリクソンによる脇腹をえぐりこむヨシモト批判に対し、パラ「おまえヨシモトの本丸でえらいことぶちこむな!」(※無限大ホールはNGKの上にあります)
・こいちゃんはヨシモトにとても感謝している、という良い話があったのだが、理由が書けない
・ヨシモトの芸人はみんな「芸人しか無理」と自覚しているのであまり不満はない
・ヨシモトで売れてるのは皆いい人(人数が多いので性格の悪い人は淘汰されていく)
・プラスマイナス岩橋の話は聞けば聞くほど紙一重である
・18馬身の独走状態で事務所中から嫌われているはるかかなた師匠
・横山たかしひろし師匠に呼び出され、「はるか無視せえ」と強要される中西
・どつき漫才でどつかれすぎてパンチドランカー状態の敏江師匠
・暁照夫・光夫師匠の弟子を説教するせりふがおもろかったのだが、書けない
・ケーエーは横山ホットブラザース師匠が所属している事務所、松竹から流れてくる芸人多数
・こいちゃんは東京で100万もらうより大阪で月30万を60年続けたほうがいいそうです
・夢はないけどうれしい、ありがとう
・パラは大阪で将来自分の立場を脅かしそうな芸人を東京に追いやっている

ヨシモト・松竹以外にも平等に話を振ってたんだけど、やっぱり格が違う。
というか松竹芸能の師匠話がおもろすぎた。
なすなかにし帰ってきてほしいよー。

そういえばとろサーモンが来月から東京進出するって言ってたけど、え、明日から!?

2010年06月30日(水)



 僕のアーバン・ブルースへの貢献

なかなか明けない梅雨の日曜、2〜3年前からおもろいおもろいとわめき続けてきたクロスバー直撃を見に行ってきました。大阪なのに単独を見るのは初めて。
同時に推してた天竺鼠はけっこうな売れ方をして、GAG少年楽団だって東京で単独やったりしてるのに、クロスバー直撃は東京向きでないのかな〜とちょっと心配してました。
でも8月7日にシアターモリエールで初単独だそう。行く行く!バナナマンの次の日だから行く!誕生日だけど!
ここを読んでくださる方の8割は関東圏の人だと思うので、お時間のある方は騙されたと思ってぜひ行ってみてください。


■クロスバー直撃ソロライブ‘冷麺と情熱ホルもんのあいだ’2010/06/27/Sun_14:00-@baseよしもと

わたしbase入るの何年ぶりだろうか。
座席の年季の入り方は吉本の劇場イチだと思います。

初単独でしたが、そこはそれクロスバー直撃なので何の不安もなく、見終わってこんなにすなおに「おもしろい」ことがあるかと感動を覚えました。
なにかの影響下にあるとか、ひねってるとか、とんがってるとか、メッセージ性が強いとか、シュールとかベタとか、そんな枝葉末節はほんとうはお笑いには要らないのかもしれない。とりたてて演技力が高いわけでもない、スタイリッシュでもないクロスバー直撃は、本当にただひたすらおもしろい。
「おもしろい」の最上級の言葉を帰り道に考えていたのですが、いい言葉を思いつかないので、ただとにかくめっぽうおもしろかったということだけ残しておきたい。
小学校の5年ぐらいのときにクラスにいたアホ男子2人がそのまま大人になって芸人になった感じ。
クロスバー直撃の笑いは誰も傷つけないでみんなを幸せにする。

会場は男の人が多かったと思います。
後ろの扉前でGAGの福井がずっと立って見てた。
暗転中のどこかで前の席の女の子が「これなんなん!?めっちゃおもろいねんけど!」とキレてました。極まっちゃって感情がおかしくなったんだろうね。
おもしろすぎて怒る人はじめて見た。

コントと映像が交互で、うろ覚えですがこんな感じ。

コント:ジムの2人
ブリッジ:GREE
コント:スローウォッチ
ブリッジ:交通安全
コント:最後の一葉
ブリッジ:美人をみつけよう1
コント:潜入捜査
ブリッジ:美人をみつけよう2
ミニコント集:映画ものまね、iPhoneのクソアプリ、ケバブ屋ほか
ED:公造の茶番

iPhoneのクソアプリはシリーズ化していってほしい。
銀シャリ米米のクロスバースイッチでわかっていましたが、やっぱりクロスバー直撃の映像ネタはきわめて秀逸です。
方向性は違うけど、キュートンの映像ネタをみたときと同じくらいの衝撃を受けた。だって映像が終わるたびに客席がざわつくんですよ。ありえないぐらいおもしろいから。
今晩はコマンダンテの安田に追われる悪夢をみるにちがいない。

W杯、イングランドのゴール判定ミスは本当に気の毒だったけど、解説が何度も「クロスバーに直撃したんですけどねー」を繰り返すのでにやにやする。
比較的余裕がある時期なので、W杯は観られたら観ています。冬期オリンピックのときは忙しすぎて観られなかったので、単純にうれしい。


追記1
金曜夕方、研究室で往生際わるく「今すぐ東京か福岡行くうぅぅ」とゴネていたら(※家城さん神保町トーク「私と魔王」or オザケンひふみよ最終)、みんなに妙にびっくりされる。
「明日は大阪でクリフォードの講義があるのに、行かないんですか!?」
なにそれMLでまわってきてたっけ?ていうかどのクリフォード?
私「ギアーツ?ジェイムズ?」皆「ギアーツは5年前に死にました!」
5つも下の後輩たちに怒られた。5年前は地獄の社会人1年目でそれどこじゃなかったし、文化人類学は専門じゃないし...。
結局来日するのはジェイムズのほうらしいですが、学徒たちの「有名人が来る!」という純粋な高揚っぷりから置いてきぼりのわたし。そして誘われても激しく固辞するわたし。
音楽や舞台なんかで「あの人が!生で!」という高揚はわかるけど、学者や研究者の講義を生で聞きたいという欲求はあんまりないな〜。あとでどうせ本なり何なり出るだろうし。囲碁将棋かロシアンモンキーが大阪に来てくれたら、何をさておいても行くけど。
講義前にランチだけお供した同い年の院生に「なんで?」と聞いてみる。「死んだあとに‘私あの人の講義ナマで聞いたよ’って自慢するために決まっとる」そうです。
ああそう。アカデミーって変なの。

追記2
や、やしろさんがもう来年の単独のテーマを生みだしてしまわれた!うわーこっちはまだ魔王とがっぷりよつなのに!

2010年06月27日(日)



 この瞬間は続くと

あーひふみよツアーが終わる!未練がましくつらつらと。

結局神戸1回だけしか行かなかったな〜。
ツアー後半戦参戦したかったけど、立て続けの出張でどうしようもなく。
ツアーまわってる方のレポとか読むと脊髄反射で「行きてえぇぇ!」と悶えていました。
けどまっくらやみで流れ星ビバップが鳴ったときの、小沢君の声が響いたときの、客席から爆発した歓喜は今でも覚えてる。
最後の曲、順に楽器隊がハケてった舞台で小沢君が一人静かに歌って、音楽がやんで、スポットライトが消えたあとのまっくらやみも覚えてる。
大事なことは忘れないし、思い出すだけで幸福で泣けるから、たった1回だけをずっと抱えているのもいいかなと思う。
これは比べたり並べたりしないで置いておいてもいいこと。
唯一無二のまま、もらったチョコレートを大切にかじりながら毎日を暮らしていこう。
私が行かなかった席分、どこかのだれかが見れたんだと思うことにしよう。
でももしいつかまたライブツアーがあるなら、もうちょっと貪欲にフットワーク軽く追っかけようと思います。
何年先だってわたし待ってる。
たった一度でも叶ったら、待つことはこんなにも気楽。

1980年生まれの私はあの当時の小沢君のスピードにまったく追いつけず、活動停止したあとも悔やみ続けてきた。
これまでいくつか好きなバンドが休止したり解散したりしたけど、あんな理不尽な気持ちになったことはあんまりない。
どこかで「あー終わるなあ」と予想がついていたり、続けるより終わらせるほうが必然で、彼ら自身にとっていいんだと思えたり、最後のライブに行くことができたり、私がもうおとなだったりして、自分の中で落としどころがあった。
でも小沢君の場合は本当にそういう容赦がなかった。
あれは休止や解散ですらなくて、テレビやライブ、どころか日本から姿を消したんだった。
間に合わずに置いていかれて13年、たぶんずっと迷子だったんだろうと思う。
今回のツアーのお客さんはみんなそうだったんじゃないかな。
だからみんなどの歌も完璧に歌えるし、踊れる。
親に捨てられた子どもが、それでも親の形見をすりきれるまで手放さないみたいに。
13年以上も前の大衆音楽の1つを。

小沢君は今回そんな迷子たちを拾いに来てくれて、「いつか僕ら外に飛び出すよ」と歌った。
この部分はいろんな人のレポを読んでも出てこなかったので、おそらくわたしの曲解なのですが、ラブリーの「いつか僕ら外に飛び出すよ」のときに小沢君は客席を煽って、客席を指さすようなジェスチャーをした。
今度はあなたたちの番だよ、あなたたちが飛び出すんだよ、というように。
今思えば単に客席に歌うように振っただけだと思うけど、それまで泣いてた私は「あ、もう泣いてちゃダメだ」と都合よく解釈した。
むかしあの独特の言い回しで「ねえ仔猫ちゃん?もう僕の言ってること分かんなくちゃいけないよ」とさとされたみたいに、私はもう次の場所に連れてってほしかったんだと思う。
そういえばおとなになってから、誰にも諭されたり導かれたりしないね。

小沢君は前より優しくなったとなんとなく思う。
祈りが前より強くなったからかもしれない。
だとしたら、裏の絶望が強くなったのかも、とも思う。

ここのところ立て続けに濃くて心揺さぶられるものをみて、心がそれだけで占められて他ごとがお留守です。
そういえば小沢君が活動を休止したのは29歳のときで、私はいま同じ年。
そう思うと、あの歌たちは怖いくらいの勇気と祈りで、改めて鳥肌が立つ。
ひふみよとカリカの魔王コントが妙に親和して溶けあって、「13年」前の1997-1998年がどんな時代だったか、今さら考えたりする。
もういいかなと思った次の瞬間にまだ絶対死ねないと思ったりもする。

朗読のなかの「笑い」で言われていたことについても、ぼんやりのんびり考えています。
狭くてローカルなネタであればあるほど人は大笑いする。
人にわからない笑いで大笑いするのはなんだかその人を排除してしまうみたいだ、と小沢君は言った。
たしかに「わからない奴はわからないでいい」と言ってしまうことはとても恐い。
そう言って他人を排除することで排除されるのは結局自分自身だから、わからない人にしかわからないことを大声で笑うのは憚られる。
で、笑ってしまったあとに反省して、ひとりで寂しくなって言い訳したりする。
でも小沢君はその笑いを否定していなかった。
わかる人たちの共同体のなかの絆、連帯感を肯定してるみたいだった。
誰にでもわかるような笑いばかりじゃ世の中はつまらない。
共同体のなかでしか伝わらないものが伝わる感覚を「嬉しい」と言ってた。
フリッパーズ時代の「わかりあえやしないってことだけをわかりあうのさ」よりも、ずっと剥き出しの。
あのライブ会場は、「笑い」を「音楽」に置き換えれば、まさにそういう符牒の場だったような気がします。

そういえば、ある知り合いに大阪追加分チケとれたら一緒に行こうって言われてた。
オザケン好きだったの?ってメールで聞いたら「LIFEがすごい好きで高校の登下校で聞いてた」って返ってきた。
犬キャラと、8cmシングル時代の曲と、活動休止後の曲は知らないらしい。
そういうファンがいて、そういうファンが今でもツアーに行きたいって思うのはなんかいいよね。
結局大阪追加はダメだったけど、でももしあの人があの会場にいたら、やっぱり疎外感を感じてしまったかもしれない。
対-他の客では勿論そうだし、対-小沢君ですらそうだろう。
小沢君は、みんながどの歌でもそらで歌えると信じていた。
「今夜はブギーバック」のスチャダラのラップパートすらそうだった。
私たちはそれに応えられることが子どもみたいに嬉しかった。
でも本当のところはどうなんだろう。
熱狂的じゃないかつてのオザケンファンがあの場にいても楽しめたんだろうか。

お笑いであれば、二層にしちゃうという方法もある。
誰にでもわかる笑いを表層に出して、その裏にくすぐりで一部の人にしか受けない笑いをすべりこませる。
でもあのライブはそういう構造にはなっていなかったと思う。
というよりわかる人たちの狂喜がすごすぎて、わからないかもしれない人はかき消されていた。

でも結局、小沢君はこういうニュアンスのことを言った。
「自分にわからないことで大笑いしてる人がいる。
その笑いは自分にはわからないけど、笑ってる人をみてると楽しくなってくる。」
それはやっぱり理想論なんだけど、彼の話すことはいつも簡単で強い。

狭くてマイナーでローカルな共同体の力を信じることは、グローバリズムや資本の拡大の対立項なんだろうか。

うちの会社に私より年下の熱心なオザケン好きがいます。
その子もひふみよに行って、次の日にちょっとだけ話した。
「ぼくはなんかあの映像ダメでした」って言ってた。
あの90年代のハッピー全開なオザケンの歌に、貧しい国々の映像が入る違和感が許せなかったらしい。
じゃあ映画の「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観るといいよ、とだけ言ったけど、どうかなあ。
伝わらないかもしれない。でもいつかわかるといいな。

2010年06月25日(金)



 やんでた雨に気付いて

あ、しまった今日カリカオールだ!さすがに今週は無理〜。
カリカオールまでに全部書きたかったのに。もう先に考察を書いてしまいます。ここから先は疑問を並べ立てただけで結論もなにもないですが、もしカリカオールや、あと来週の神保町トークで家城さんがなにかを言ったなら、ぜひ教えてほしいです親切な人。レポ期待!


で、ひっかかりどころを探るための作業として、思い出せるだけ書き出してる途中なんですけど。書きながら考えていること。
メモ読み直しても、やっぱりおかしいのは林ちゃんのキャラクター。
何回も「えっ!?」ってなるところがあって、ずっと、ほとんどずっと違和感があった。1回目に入りこめなかったのはきっとそのせい。私が飲み込めなかったのは、林ちゃんの変化についてけなかったからなのか?

家城さんの演じる七変化のキャラはみんなそれぞれ個性的で奇矯なんだけど、それぞれのキャラの中では矛盾がない。見ていて違和感を感じないし、動機と行動に納得がいく。
対して林ちゃんはすごいブレてるように感じる。そんな簡単に!?っていう理由で人を殺す(「うざい」とか「うるさい」とか)。それは後で人間性の欠如orノルマだったとわかるけど。たとえ林ちゃんが魔族になってから人間らしく成長し人間性を獲得していったのだとしても、ほとんどの場面において共感がむずかしかった、私には。対お下品夫人のときと、対初めての魔王のとき以外。オコチャも王様もみゆき姫も、邪鬼も愛せるのに。2部の子ども、轟さんたち、お下品夫人、魔王も愛せるのに、なんでだろ。
林ちゃんはそういうふうにつくられていない?

お下品夫人に向かい、林ちゃんは殺人についての快楽と罪悪感を吐露する。殺す数だけ林ちゃんの首周りのネクタイは増え、葛藤をエサにネクタイは伸びていく。そうすることで林ちゃんは成長する。
ノルマ達成のために無茶な流れでピストルをぶっ放していた林ちゃん。お下品夫人のときだけ陸奥(みちのく)ぐるぐるタイフーンが出たけど、あれ以外はピストルによって丸腰の弱者を撃つだけの虐殺。それって強いってことなんだろうか。少なくとも魔王の部下らしくはない。魔王ランディという名前=人類共通の仮想的である象徴的権威を振りかざさないで人を殺すことは、あとで明かされる魔王の使命(人間同士の争いをなくすこと)につながらない。魔王軍にとって殺戮は人を守るためのデモンストレーション。でも林ちゃんのは人間が人間を殺して、ただ人口を減らしてるだけのような。んー、コントだから?
2部のコント中、ピストルを撃つときの林ちゃんは一度も魔王の部下だとは言わない。
そう言わなかったのは終盤の気づき「第1部と繋がってたんだ!」のためだけなのかな?

あのニセ魔王とニセ林は、どういうことなの?次元が違うの?時間が違うの?まったくの別人なの?
あの一幕が挿入されることで、時間軸がわからなくなっている。
役名Tシャツを着たデッカチャンとコッセこういちが蘇りを演じ直すところ、あれは1部の単なる反復ではなかった。コッセ林は「お前を殺すために旅をしていたんだ!」「あなたを殺すかもしれませんよ」と魔王ランディに言っちゃう。人間だったころの林ちゃんはせっかくタイガーバームを集めても殺すと言えない、魔王を殺せなかった人。あのときは人間だったから?でも手下になり、No.5になってからも、お下品夫人の前で「私には魔王を殺す資格がない」と言っていた。ああでも魔族として生き返ってから人間らしい心を得た稀有な存在だから、魔王を殺せなくなったのか。でも罪深さにおののいていた演歌好きの林ちゃんは、両中指を突き上げて「ファックオコチャ!」と叫ぶコッセ林と同一人物なのかな?というのがずっとひっかかっている。コッセ林はこれまでの自分の所業(第1部)を魔王からあげつらわれ、「なるほど僕は最低だ」と大笑いする。そしてとても前向きに人を殺すことを誓う。あれは絶望の笑いなんかではない、悪を是とする愉快な笑いだった。この林と魔王の2人は絵に描いたような悪役コンビです。
ひるがえって林ちゃんは、お下品夫人に2部での悪行を列挙される。拾ってきた子を殺し、パンツかぶっておどる人を殺し、不動産屋で轟さんたちを殺した。...「僕は悪でしょうか」「僕はどこまで強くなるんでしょう」それはどういう意味なんだろう。単純に、強くなるにつれ人の心が戻って苦悩が深まり、さらに強くなる、という連鎖の結果?
お下品夫人を前にした林ちゃんと、初めての魔王の間の林ちゃんは同じ人という感じがするんです。服装は違うけど。それ以外の1部とコントは違うような気もする。
お下品夫人を倒して、そこから林ちゃんは着物姿に戻った。物語のはじまり、大量殺戮用の爆弾ロボット(ではなくて実はただの死体)から奪ったスーツは、どういう意味があったんだろう。うーん、なんか大事なこと忘れてるのかなあ…。黄色の垂れ幕が落ちて世界が戻ったのはどこだった?お下品夫人のところだ。そうだ、演歌が流れた。

魔王も同じ。林ちゃんが死んで生き返って13年、「(殺しにきたら)返り討ちにしてくれるわ」と言った魔王デッカがたった13年で「なんかもう疲れちゃった」っつって自殺するのかな。魔王ランディはもともとタイガーバームの神様で、そのあと上の神様にいわれて魔王になったけど、でももうずっと人間界で君臨してた...はず。1部の魔王と、初めての魔王の間の魔王と、デッカ魔王は同じなんだろうか。違う人にとっての重みとしての13年なんだろうか。先に「意義」があるのだから、あとに続く「存在」は誰でもあって、誰でもいいのか。棒みたいに拾われて育てられてふりまわされて捨てられたのは林ちゃんで、でも魔王でもある。彼らは、リンケイソウという人と魔王という人は、ひと続きの・途切れのない・不可逆的な時間の中で生きている同一人物なんだろうか。
初期衝動=剣の名はカリカ。うーん。。。


追加の疑問とか感想とか覚書
・「隅」「角」という概念が何度か出てきた。三角コーナーの汚物、立てかけられた棒きれ、部屋のすみで13年間忘れられた伝説の剣、これらは何を意味するの?
・初期衝動を手にしたままで林ちゃんは魔王になった。林ちゃんの初期衝動は魔王討伐だったのに。どこでカリカの効力は消えたのか?そもそも魔王討伐は初期衝動ではないのか?
・お笑いファンでない後輩(でもこの日記はみてる)から「穿ち過ぎです、てか博論からの逃避だろ」と容赦ないメールがきました。ごもっとも。たしかに、カリカっていう先入観があるからなかなか手放さないで突きまわしてるのかもしれない。でもあの熱量には引きずられるんだよ...
・引っかかりとは別に残る言葉:みゆき姫の「ありがとう」、お下品夫人の「この世の中のあらゆることにおいてね、資格なんてものはひとつもないのよ」「ほんとうは、おきれいと言われたかった」、林ちゃんの「必要悪など認めていたら、人間に進化はないのだ」


うん、だからつまり、いろいろわからないことだらけです!
マルホランドドライブみたいだな、と思ったのは、ある次元でA→B→C...っていう表の物語が進行してて、でも実は裏に違う1→2→3っていう別次元の物語も動いてる。で表に見えているものも一部は裏で、もしかすると順番も違って、間の無意識のところが引っかかってしゃあない、という状態に近いのかなと。

わからない、わからないわ!(@中川パラダイス)
これ後からみたら自分でもわからないだろうなあ。だから何?っていう。
家城さんの考えてることとは全然違う気がするけど、まあでも1週間いろいろ考えておもしろかったからいいや。


脈絡なく思い出されるのはいつかのカリカオールの林さんのことばと、「ムネリンピック」の家城さんの遺書です。
林さんがSなのは家城さんの洗脳によるものうんぬん、という論争が去年のカリカオールであって、そのとき林さんは「結局あなたが支配者で自分は洗脳され手のひらのうえで操られてる傀儡だ」(大意)とすごいテンションで喚いてた。あのとき林さんは天才の隣にいる人なんだなと思った。なんとはなしに。
あとムネリンピックの家城さんの遺書(※いや遺書ではないんですけど)では、「おもしろければいいのか?笑えればいいのか?笑えなくても脳が興奮してればいいのか?」(大意)という自問自答をしていて、なんとなく、カリカのコントは笑いのパートと家城さんの言いたいこととを分けて見るほうがいいのかなと考えたりしていた。笑い=言いたいこと、というときもきっとあると思うけど、なんとなく、分けないとわかんないことのほうが多いような気がして。
家城さんはきっとものすごく伝えたい欲求がつよい人なのに、その伝え方がものすごく込み入っている。あえてそうしてるというより、そうしないと伝わらないことを伝えたがっている、のかな。

2010年06月18日(金)



 清く正しい過去はない

2年連続でバナナマン単独@東京とかぶっていたライセンスEnjoy@大阪。
今年もどうせかぶるだろうと確認もせず、さっき野爆のテクテクツアーと中川家の特大寄席に先行申し込んでから気づいた。今年のライセンス大阪は8月7日の週じゃなかったのか!で特大寄席と同じ日時だったのか!
うーん、若干の未練はあるけどトークライブじゃないし、わたしはNGKにゆきます。ていうかライセンスが中川家より1000円高いってどういうこと。会場代と後輩代とツアー経費?

たまりにたまった録画を見た週末
・ゴッドタンのひがしのりに涙(あんな表情を地上波で見られるとは!)
・漫才ヴィンテージのやすともとフットボールアワーの至福


***


それはそうとカリカ単独「魔王コント」、ようやっと最後かな〜。
も長いです。




「お下品夫人」
舞台中央には美容院のような椅子。髪をヘアバンドでまとめた家城さん、白衣でピンポンラケットを構え、ピンポン球を客席につぎつぎ打ち込んでいく。上手側中央の10列目より後ろが狙い目だったようですが、1回目・2回目ともに席が前すぎてはるか頭上を飛んでった残念。こういう演出をみるとシティボーイズのリス投げを思い出すわ〜。
打ち終わって消耗している家城さんのもとにやってくる林さん「いつもの感じで」。
林さんの首周りにはぞろぞろとネクタイの束。ベルトに何十本とネクタイが結ばれてて、それを首輪みたいにつけてる(水どうのタコ星人のよう)。そのメンテナンスをしにきた林さん。「いつも通りカットでいいのかしら?」家城さんは女性です。瀬川瑛子みたいな鼻声。
夫人「おけいちゃん!今日こそ私を抱いて!」おけいちゃん「抱かないですよ」夫人「ギンギンのくせに」おけいちゃん「冷えちゃってキンキンです」夫人「私で溶かしちゃう?」ド直球じゃねえか。という、なんだか慣れたシモなやりとり。
「カットお願いします、Dr.デザイア」「お下品夫人と呼んでちょうだい」お下品夫人はお下品によって成長するらしい。お下品道を極めたくないおけいちゃん。夫人「匠たがらない人はじめてだよ...?」たくむって動詞なのか!
美容院ふうの椅子に座ってお下品夫人にネクタイをカットしてもらうおけいちゃん。伸びてるのはいやらしいことを考えたから?夫人「あたしが切ってるこれはどの夜のお下品かしら?ほんとお下品!」下品下品うるさいな、というおけいちゃんに「お」がついてるじゃない、と夫人。どんな言葉でも「お」をつけるだけでミラクルワードになる。おファッション。おきんぴらごぼう。おきんぴらおぼう。おぼうさーーーーーん!
おけいちゃん「逃げてる坊主追っかけてるだけでしょ」このあと3回ぐらい坊主が逃げていきます。
おけいちゃんは首周りのネクタイの毛根ががかゆくてしかたない。夫人「まあお下品!生クリームシャワー浴びてこようかしら」わからないおけいちゃん。私もわからん。
おけいちゃんはここへ来るとよく意識を失う。その間に催眠術で脳をいじられているらしいです。林ちゃんの成長速度が早いのはお下品夫人のせい。お下品夫人ことDr.デザイアは、どうやらマッドサイエンティスト。
お赤おワインをお飲みながらネクタイの根本のなにかをピンセットでつまみ、食べる夫人。ワインの肴なの...?夫人「おけいちゃんのネクタイにしか住んでないのよ、小さいサラリーマン」食うのか!サラリーマンを!食感は海ぶどう。お海ぶどう...海おぶどう...「うるせえな!」ここでもお坊さんが走ったんだっけ。
ワイン飲みながら小さいサラリーマンを食べるお下品夫人に、おけいちゃんがまじめに語り出す。ぼくはたくさんの人を殺してきた。殺すたびネクタイが増えていく。知ってるわよ、と夫人はこれまでの悪行(拾ってきた子どもを殺し、パンツかぶって踊るおっさんを殺し、不動産屋さんでたくさん殺し...)を列挙する。「ぼくは悪でしょうか?」夫人は研究者だから善悪に興味はないという。その成長速度に興味があるだけ。殺人の快楽と罪悪感の狭間で悩むおけいちゃんですが、おけいちゃんは殺人の快楽と罪悪感、そのあいだの葛藤をもとに成長する。もうNo.5までのぼりつめた。...No.5?
おけいちゃん「ぼくは誰なんだろう」
お下品夫人「あなたは魔王に魂を売った人間、林景荘よ!」
1部冒頭の演歌が流れる。2部のあいだずっとかかっていた黄色の幕が落ちたのはここ?もうちょっと先か?
僕はなんのために旅をしていたのか、と悩む林ちゃん。お下品夫人は魔王ランディは神、手下のわれわれは悪魔だと言っていた。つまりお下品夫人も魔王の部下だということ。
夫人「あなたは魔王を殺せるかもしれない」林「できるわけない!どうして殺さなきゃいけないんですか!」ん?林ちゃんは人間だったころのことを忘れているの?
夫人「あたしが手を加えた作品が神を殺すなんて、お下品だわ!」
でも自分には魔王を殺す資格がないという林ちゃん。
夫人「この世の中のあらゆることにおいてね、資格なんてものはひとつもないのよ!」
このくだりのお下品夫人はすごい迫力があった。魔王討伐の初期衝動を呼び起こしなさい、と叫ぶ夫人。でも今のままの林ちゃんではダメだ。お下品夫人を倒してさらなる力を手に入れ、神を超えなければ!
林「お下品夫人、俺はお前を愛している」
夫人「......知ってたわ」
お下品夫人が白衣を脱ぐと、中は全身網タイツ(股間に穴があいてる仕様)。パンツが黒。
夫人「私を倒して力を手に入れなさい!」
林ちゃんは魔王に魂を売ってから人間の心を手に入れた希有な存在なのだと夫人はいう。もう身近な人を殺すのは嫌だ、と叫ぶ林ちゃんに対し、最後の戦いを挑むお下品夫人。
夫人「あなたが来ないんだったら、あたしが殺してあげる」
お下品対決が始まります※このへんシリアスからの急展開で記憶がだいぶ曖昧。
林「そこまでいうなら殺してやるよ!」夫人「まあお下品ね!」
林ちゃんの攻撃:ぐるぐる冷血タイフーン。林「...何なのそのかっこ(蔑)」芯から冷えるお下品夫人、しかしお下品微振動によって破られた!
夫人の攻撃:お下品おこんぶアタック。デューク歩行でぬらぬら歩いてくる夫人。しかしおこんぶは直進しかできないので簡単に躱された!
林ちゃんの攻撃:アキラ神拳なにわ節だよ人生は。なにわ節だよ〜のイントロがかかると清水アキラのものまねばりに、唇を鼓にポンポンポンと打たずにはいられない。イントロだけがエンドレスにかかる恐ろしい技。口の周りが真っ赤に腫れてるのにやめられない!叩きすぎて棒立ちになり、うつろな顔で鼓をうつ夫人が鬼気迫っていました。しかし夫人、「飲めといわれて〜♪」とむりやり歌い出すことで技を返した!林ちゃん「返された!」そして今度は林ちゃんの手が勝手に動き出して唇を打つ...けどいまいち本気で打ってない。後半ほとんど添えるだけ。怒る夫人を尻目に「淡谷のり子先生の7点」!返した!(ものまね四天王世代=アラサーしかわからない流れ、でも爆笑)
夫人の攻撃:お下品ケチャップポッキー。No.2ぼうやがムリヤリ口に突っ込んでくるケチャップに漬かったポッキー、すごくお下品なハーモニー。
林ちゃんの攻撃:ご真言を唱え「陸奥ぐるぐるカッター」を繰り出す林ちゃん。ぐるぐる廻るとネクタイが浮き上がり、刃物となって夫人を刺す。そして流れる「みちのくひとり旅」。
♪たとえどんなに恨んでいても
 たとえどんなに灯りが欲しくても
 お前が俺には最後の女
 俺にはお前が最後のおんな
切られた夫人は恍惚の表情。そしてモノローグ「ほんとうは、おきれいと言われたかった...」

「Interlude」
デッカチャン=魔王、コッセこういち=林。2人は役名(魔王・林)が書かれたTシャツを着ている。そして1部の幕切れ、林ちゃんが魔王に魂を売ったくだり再現。でもそのままではなくて追加されて長い。そして2人のキャラが変わっている?違う点がたくさん。
すべて人のせいにするコッセ林「死んだのは邪鬼のせいだ!ファックざわざわ!」「死んだのはもとはといえばオコチャのせいだ!ファックオコチャ!」たしなめる魔王。
生き返ることがとにかく大事、でも生き返ったらあなたを殺すかもしれませんよと言うコッセ林。でもすでに魔王「様」づけ。魔王「懐入ってくるね〜」。いつでも殺しに来い、返り討ちにしてくれるわという魔王。
魔王はなぜ林ちゃんを生き返らせた?「お前には魔族としての素質がある」死人からスーツを盗り、ノセられて魔王討伐を誓い、友人を裏切り、旅人を殺し、女を刺し、邪鬼に騙されて死んだ。林「なるほど僕は最低だ、あなたにもらった命を燃やし、この力の限りおろかな人間を苦しめましょう!」
結託し哄笑するワル2人。
え、え、この一幕は一体どういう意味があるの...?

「846章 初めての魔王の間」
魔王によびだされて部屋に入ってくる林ちゃん、スーツから演歌の着物に戻っている。でも首にはネクタイの束。
そこにタオルで顔を拭きながら魔王ランディ登場、例の低音で「顔洗ってたぁ」三途の川から13年、林ちゃんはNo.2になったらしい。林ちゃんを待たせてデコラティブな魔王の衣装を脱いでいくランディ。頭のツノも背中の生首も、すごい高いブーツも全部。靴ずれ防止の絆創膏を貼っていた魔王。「それ、とれるんですか...!」すなおに驚く林ちゃん。魔王「とれなかったら逆にこわくない?」なんと地声は女の子みたいなソプラノ。「声変わりしなかったの♪」めんこい。
魔王「ねえ林ちゃん、ぼくを殺しにきたの?」そんなわけないでしょう、という林ちゃんのNo.2就任を祝ってお茶で乾杯。魔王「お酒なくてごめんね、明日の朝早いから」「あっネイルはがれてきちゃった〜」「今ワンコインランチにはまっててぇ」三連コンボ。林「OLか!」魔王「おーえるではない」
魔王の住んでいるお部屋の中央にはホワイトボードが置いてある。みんなの成績表、赤い花は林ちゃんがダントツ。ホストクラブみたいです。壁には初心を忘れないようにスローガン。「虐殺」は父親の友達の書家が書いてくれたもの。「目標殺戮数:50万人」、でも現状8万人。そのほか「浅田魔王 KILL ヨナ」、「急がば殺せ」など。
「もうぜんぶ疲れちゃった!」とだだをこねだす魔王。絶対的存在の弱音を受け入れられない林ちゃん。「からかっておられるんですね」というのに答えず、魔王は「魔王の存在意義ってなんだと思う?」と問う。魔王「これすごい大事なことなんだから!出るよ!これあるよ♪」
林「人を脅かすこと...ですか?」魔王「さすが林ちゃん♪ほぼ正解♪」
でも存在に意義があるのではなくて、ただ存在しているものに後から意味がついたのではないか?と林ちゃんは考えます。つまり魔王ありき。でも「逆だよ♪」と魔王。先に、初めに意義があった。人間を守るという意義が。
混乱する林ちゃん。だって両親は魔王の部下に殺された。魔王がいなければスラムもなかった、世界は平和だったはずだ。「でもぼくが魔王をやってなければもっとたくさんの人間が死んだし、スラムももっといっぱいあったはずだよ?」林「うそだ......!」だって魔王が生まれる前、人間は人間同士殺し合い、戦争ばかりしていた。生み出された魔王の意義は、人間同士の殺戮を防ぐための共通の敵として存在し恐怖を与え続けること。
タイガーバームの神様だったランディは、人間を滅亡から救うために魔王をやれと言われた。それは上の神様から。上の神様は殺し方にバリエーションを求めたりするらしい。一気に大量に殺戮するんじゃなくて、いろんな手段でちょっとずつ、恐怖に飽きられないように。
魔王「そういうの考えたりすんのもう疲れた!」魔王=神様にとって、人間は守るべきおろかな生き物。
林「だからって何の罪もない人を殺していいんですか!?」
魔王「林ちゃんも殺してきたじゃない、守るために」
林「......もしタイガーバームを集めたときに私が願いを言っていたら...?」
魔王「魔王は死んでたよ!でも言わないでよかったね、人類滅亡のお手伝いだよ♪」
混乱し、部屋に戻る林ちゃん。ひとりになった魔王。
「黒人地域があんまり殺せてないから、今週は黒人ウィークにします♪」「あ、コンタクトとらなきゃ、パリパリになって目ヤニでちゃう」どこまでもOL的に就寝準備。

「884章 あなたは魔王を殺せますか?」
林ちゃんのモノローグ。
林ちゃんは考えて悩んで葛藤を繰り返し、ますます強くなった。あるひ部屋の隅に立てかけてあった伝説の剣にふと気づく。死んでから伝説の剣・カリカを手にしたことがなかった林ちゃん。
手に取ると力があふれてくる!初期衝動を呼び起こされた林ちゃん。
「もし魔王を殺すことでふたたび戦争が起きるのなら、戦争を食い止めればいい。必要悪など認めていたら、人間に進化はないのだ!エイエイオー!エイエイオー!」
魔王ランディを倒すべく、魔王の間に乗りこむ林ちゃん。
そこで見たものは、天井高くロープでつり下がり、首をくくった魔王。
魔王は自殺して、また林ちゃんは魔王を殺せなかった。
弦楽器とファゴットとフルートがレクイエムを奏で(※生演奏)、天井のくす玉から巨大な「カリカ単独‘魔王コント’」の垂れ幕が落ちる。
スクリーンに魔王の遺書が映し出される。ほぼパロディですけど。
 体力の限界、気力もなくなり、自殺することになりました(※おおおお千代の富士!)
 私の仕事はすべて林景荘に託します
 人を殺してもひとり(※放哉)
 殺しても殺してもわが人生楽にならざりじっと手を見る(※たくぼく)
 殺したっていいじゃない、神様だもの(※みつを)
 わが生涯に一片の笑みなし(※ラオウ)
 そういうものに私はなりたい(※賢治)
 わが魔王軍は永遠に不滅です(※ミスター)
  魔王 ランディ・タイガー・バース(阪神の守護神...!)
 (あれ、山頭火はなかったっけ?)
筆頭を失った魔王軍、No.2の林ちゃんを魔王に仰ごうとする。
林「引き受けよう!魔王も、タイガーバームも、すべて引き受けよう!」
手には伝説の剣。全員が後ろを向いて、林ちゃんが戴冠する。振り返ると全員メガネ(笑)
「エイエイオー!」暗転、響きわたる7頭の虎の吠え声。

明転すると着物姿の林ちゃん(魔王)と、最初の映像で出てきたアーティスト風のかっこした家城さん。
林「さあ願い事を言うがいい!」
家城「魔王死んでほしい、マジで」
林「...ばびょーん」


くるりのワンダーフォーゲルが流れて、構成作家さん、美術さんなどの製作風景が映像で流れる。
出演者のカーテンコール。最後にカリカが客席に礼をして、暗転。
(1回目は毛むくじゃらのぬいぐるみを着たデッカチャンが居残っていました)

アンコール?
林さん=演歌、家城さん=ラップで交互にうたう。めまぐるしく変わる曲調。
林♪人は誰もみな魔王 僕の愛した浅田真央 手酌酒 ひゅるりらら サラリーマン...みたいな演歌。ふつうにうまい。
家城♪上から読んでもカリカ 下から読んでもカリカ 林克治という変態 家城啓之という妖怪 ワールドリーダーは悪いリーダー...みたいなラップ。むずかしそう。
歌い終わって、家城さん「本日はカリカ単独ライブ‘魔王コント〜あなたは魔王を殺せますか?’にご来場いただきまして、まことに (※深く礼をしながら2人とも口パクで)ありがとうございました」

終幕。






お詫びライブ(と3回目)は見てないので、これで終わり!
どっとはらい。もうほとんど意地です。
1回目と2回目の間に喫茶店でしこしこメモ書いて、2回目終わったあともバスで寝ずにしこしこしこしこ書いて、仕事の取材メモ帳の裏表紙まで使い切ってしまったぜ...。字がみみずで判別不可能なところは妄想と勢いで補完したけど、いろいろ抜けたり入れ替わったりしてるなあきっと。
もともとは、いつも吉本系のライブで大変お世話になってるIさんが急用でカリカ単独行けなくなって、ああじゃあできるだけ客観的に覚えて帰らないと......と思ったのが始まりでしたが、すみません途中から完全に自分のためにやってました(土下座)

考えてることはいっこ上の記事に書き足していく。
本気で神保町花月「魔王と私」行きたい。本気と書いてマジと読む。立ち見ってあるのかな…。

2010年06月14日(月)



 夜空の果てまで向かおう

明日から四国出張なのに、いつ書き終わるんだろうコレ。
書き終わるまでカンニングしない(=他の人のレポを読まない)と決めました。見ちゃったらもう絶対に続き書かないから。なんかだんだん書き起こしじゃなくて創作補完になりつつある。セリフとかノリで書いてるからね、雰囲気、雰囲気です。

ちなみにここまでの流れはこちらの途中から。


「まだ死ぬわけにはいかない」
伝説の剣を手に入れて旅を続けている林ちゃん。ザアザアと雨がふるなか、黄色い合羽を着た人影林ちゃんの背後に駆け寄り、後ろからナイフで刺す。それは生き返っていたオコチャ。オコチャ「おあいこ!」林「おあいこだったら生き返らせてくれよ!」でも走り去るオコチャ。
(あれ?お返し、だったかな?)
林「だから俺は梅雨が嫌いだ」倒れ込む。
とても冷たいところにいる林ちゃん。「俺は死んだのか...?」起き上がると、そこは川のようなところ。なんだかとても上手側に行きたい気がする。「でも行っちゃいけないような気がする...でも行きたい...ああでもあっち(下手側)に行かなきゃ!」そこにぱちぱちぱち、と拍手が。
手を叩いたのは舞台中央の階段に座っていた人影「さすがですね!」。
白いシャツに黒の蝶ネクタイ、下半身はおむつのみ。赤の水泳帽に髪を全部入れている。帽子にひっぱられて目が吊り上がり、顔は歪んでいる異形。もちろん家城さんです。
「ここまできて理性が残ってるってやっぱすごい!さすが魔王討伐を誓った男!」絶賛されても「きもちわるい!」としか返せない林ちゃん。「慣れましょう、話が進まないから」嗜める気持ち悪い人。林「慣れません!」たしかに慣れない気持ち悪さ。水泳帽をかぶりなおしてぐりっと顔を剥き出しにし、キモさをアップデート&バージョンアップする気持ち悪い人。
「俺についてくればキモさの向こう側、見せてやるぜ」(キメ)
ジョジョ立ちで上体を揺らして爆笑をとる気持ち悪い人。「求められてる気がするんです」
(これは2回目だけだったかな?)
「ここは世界一有名な川でございますよ」林ちゃん「三途の川ですよね」そう、ここは「三途リバーでございます!」どちらに行けば死ぬのか、生き返るのか。「最高の二択でございますよ!人生最後のギャンブルの始まりでございます!ざわざわです、ざわわざわわです!」あ、カイジだ。
(あっぱれのひっぱりからのアドリブは1回目だけだった?どこに入るんだ?)
気持ち悪い彼の名は邪鬼、無邪気の邪に鬼。三途の川で迷う人を導く役割。林ちゃんのように自分で立ち止まる人もいるし、誰かに呼び止められる人もいる。下手に立って「まだそっちに行っちゃだめよ」上手に立って「ここはまだオマエが来るところではない(超美声)」林「でもぼく誰にも呼び止められませんでしたよ?」邪鬼「そりゃ誰にも愛されてないですから」地味に凹む林ちゃん。
林「でも邪鬼さん、あなたはバカですね」だってさっき上手が彼岸、下手が此岸だって言ったから。「い、言ってねえよ!何年この仕事やってると思ってんだよ!言ってないってえ!」挙動不審で逆ギレする邪鬼。結局ぐずぐず泣き出す邪鬼。実は録画されてて、現場がちゃんと仕事してるかを上の人に見張られてる。「派遣だし!」普段は派遣も社員も仲良いけど、ボーナスのときだけ壁ができるらしい。知りませんよ!さっさと下手に行こうとする林ちゃん。
邪鬼「ちょちょちょ、待って待って班長!怒られるんです、そっちの岸行ってもいいですから一端こっちの岸にぴょんと飛び乗っていただいて...」とうぜん振り切って下手に行こうとする林ちゃん、邪鬼は止めようとするけど止め方が甘い。しかも最後にちらっと笑った。のに林ちゃんは気づいた。本当は下手があの世なのではないか?と疑心暗鬼になる林ちゃん。シュール5の田所プロデュースのような展開、どっちだ?ざわ...ざわ...。なかなか立ち止まる人がいないので遊びたかっただけという邪鬼。基本は生き返らせる方針で、しかも林ちゃんは生き返らせるように上から指示があった。
林「けど死んでたらどうするんだよ!」
邪鬼「ぜっったいにそのようなことのないよう言葉を選んでおりましたあ!」
林「じゃどっちに行けばいい?」邪鬼「.........。」座ったまま動かない邪鬼。え、死んだ?
林「邪鬼ちゃーーん!」どんなタイミング!
上手か?下手か?ますます混乱する林ちゃんの背後から「ざわざわ...ざわざわ...」死んだはずの邪鬼の声。生きてた。そりゃそうだ。遊びたいだけの邪鬼ちゃん。
邪鬼「私は人を信じられない人には本当のことを言います。人を信じる人には嘘を申します」
お前が先に死ね!と上手(あの世)に邪鬼を突き落とすと、またも動かなくなる邪鬼。
じゃあやっぱりあっちだ、と対岸の下手へと向かう林ちゃんの背後から「ざわざわ...ざわざわ...」死んだはずの邪鬼の声。三途の川の住人は死なないのだった。しかし林ちゃんもまだ岸に上がってはいなかった、ドロー。邪鬼「これは卑怯だあぁ!」この騙し合いはどこまで展開していくのか。あれ、結局どうやって林ちゃんは上手に行ったんだっけ?(このくだり長かったんだよ...)
とにかく上手の岸にあがった林ちゃん「生き返ったぞ!」
「あぁあ、遊びたかっただけなのに、結局マニュアルどおり」がっかりして立ち去る邪鬼。
そう、けっきょく上手があの世だった。林「俺死んだ!?」
そこにひびく魔王の声「お前は死んだ。私の手下になるなら生き返らせてやろう」
林「よろしくお願いします!」しかも食い気味。魔王「カンタン!」
あっさり魔王側についた林ちゃんは客席に一礼、スラムの皆様に謝る。
スクリーンには「コントオーバー」の文字。サブちゃんの「祭り」がかかり、エンドロールが流れる...けどキャストがふざけている(笑)たしか、
林景荘・・・藤原竜也
王様・・・・サモハンキンポー(黒ウーロン茶)
従者・・・・大泉洋
みゆき姫・・余貴美子
邪鬼・・・・香川照之
魔王・・・・1日目/伊武雅刀、2日目/香川照之
みたいな感じ。香川照之率が異常に高かった。ていうかいいのか余貴美子!(三角コーナーの汚物って言われる役です)
舞台両脇に立っている大きなパネルに黄色の垂れ幕が落ち、舞台の色が変わってアナウンス。「本日はカリカ単独‘魔王コント’にお越しいただき、ありがとうございました。林景荘が早めにリタイアいたしましたので、第一部は完とさせていただきます」えっ!続きまして25秒後からは普通のコントライブになります、とのこと。家城さんのおぼつかないカウントダウン「25,24,23...15,イチゴ,越後,セルジオ越後,越前クラゲ...」メタモルフォーゼ!けっきょく「3,2,1」もセルジオ1の越後とか言ってた気がします。

***

舞台中央にサンパチマイクが置かれ、出囃子にのって出てくるカリカ。なんと漫才!2007年M-1三回戦敗退以来の漫才!上から読んでも下から読んでも右から読んでも左から読んでもカリカ。さみしく言うと過疎化。今年はKOCの3回戦に行きたいと家城さん。林「準決勝狙いましょうよ」家城「そこは決勝って言おうよ!」でも決勝は行かないと思う行かないでくれ(真顔)
タイガーバームをしらない世代がいるという話。知ってる世代はアラサー。家にあったよね。タイガーバームガーデンというのが香港とシンガポールにあって、香港のはつぶれてシンガポールも風前のともしび。家城「いつか行きたいね」林「気持ち悪いよお前」家城「子どもたちが成人したらさ、ゆっくり行きたいよねっ」熟年夫婦のような(一方的な)会話。行きたいとか以前に林さんは家城さんに興味がない。もう結成10年以上にもなるのに。家城「じゃああなたが死んだら遺影もってタイガーバームガーデンに行ってやりますよ」生前すごく行きたかったんだろうなと周りの人に思わせたい。林「そっとしといてください」たしかに。中国人とフィリピン人のホモにしか見えない。
オトナの話。家城さんによると、オトナの3大ワードは株・近所付き合い・虚無感。ここらへんのつなぎを忘れましたが、おっさんが路上で子どもにパンツを見せたら変態かどうか?林「捕まるでしょ」じゃあ単にパンツを手に持っていて、その前に子どもがいる場合は?林「場合による」パンティだったら?林「変態です」それならパンティをかぶったおっさんが路上で激しいダンスを踊っていたら?林「現行犯逮捕です」でもそのおじさんは純粋に心から踊りを見せたいだけなんだよ!林「じゃあパンツとりなさいよ」そんな話。
引き続きオトナについて。子どもがいてもおかしくない年だ、という話。家城「子どもなんて勉強させなきゃいけないし」林「犬拾ってくるし」家城「山や海に連れてかなきゃいけないし」林「犬拾ってくるし」家城「わが家、犬だらけ!犬好きだから犬屋敷でもいいけど」でも拾ってきた子どもを叱れるのか?家城さんは「そんなもん食えるか!」と叱るそうです。トラウマだ。家電製品を拾ってこさせたい家城さん。コジキの発想ですが、コジキの子はコジキ。ちゃんと世話できるのかって言わなきゃ、という林さんに対し、家城「僕が拾われた子だから無理です」...ドナドナを歌いながらはける家城さん。あわててマイクをはける林さん。

コント/棒
林さん(父)のもとに帽子をかぶった家城さん(子ども)がやってくる。背中に何かを隠し持っている。それは棒きれ。でも子どもにとっては友達スティッくん。父「またそんなもの拾ってきて!返してきなさい!」子「道ばたで冷たくなってたんだ!うちに置いていいでしょ!?」父「だめだ」どうせお前はそこらへんに放ったらかすよ、という父に「ちゃんと毎日ふりまわす!部屋の隅にたてかける!」と反抗する子ども。でもやっぱりダメ。子「どうして!?」父「うざいんだよ!」ピストルを取り出した父に、子「ぼくは棒さ!お前に拾われてふりまわされっぱなしの...!」恨むなら本当の親を恨め、と義父に射殺されてしまう子ども。
客席を向いて「どうもありがとうございましたー」2人明るく。
1回目では林さんの汗がすごすぎて火薬が発砲しないアクシデントがありました。あれはあれでおもしろかったけど、2回目のほうがゾッとしたな。
そしてさっきの漫才はどうやらフリで、1部とも繋がっているらしい。

林の部屋
徹子の部屋的に、林さんとコッセさんのQ&A。スポットライトを浴びて立っているのはコッセさんのみ、林さんは声だけ。これまで出演した映画とかドラマとか、そのセリフを言わされたりする。セリフなかったり、「うわぁ」だけだったり、忘れたり、噛んだり。ここは2回とも気を抜いててあんまり覚えてない...。最後は得意の踊りを、ということでパンティをかぶって踊り出すコッセさん。あ、さっきの、漫才の。そしてやっぱりつかまった。林さんに羽交い締めにされ、引きずられていくコッセさん。

コント/バース不動産
不動産会社の社員が林さん、死んだコッセさん(パンツかぶったまま)を袖にはける。そこにヨボヨボと入ってくる家城さん。「この街を愛してしまってのう」だから部屋を借りたい。林「見た目お若いですがおいくつで?」家城「28歳じゃ」若い!という林さんに「内臓だけが老いる病気で...」とても気まずい林さん。座りたい家城さん、でも腰はイタクナーイ。林「ふざけてるんですか!?」家城「目が見えないので」林「気まずさがパンパンだあ!」家城「地獄へ堕ちてくださいね〜」優しい言い方でめっちゃ怒られた林さん。
では口頭で、と間取り図を見せるのに「ベランダ狭いのやだ!」じじい見えとるやないか。
世の中にはついていい嘘と悪い嘘がある。林「今のは悪いほうの嘘でしょう!」家城「神様ごめんんなさい!......チャラ!」
じじい、ではなかった若者は轟さんという。きれいで広くて安い部屋が借りたい轟さん。そこにひびく「モー♪」...牛?林「あんた今日電車で?」家城「牛で来ました」林「だと思った!」電柱につなぐ、のではなく口から串刺しにしてある。えええ!?嘘ですけど。
そこにモーモーと複数の牛の鳴き声。何とかして!と林さんに言われてはける轟さん。戻ってくると轟さんが9人に増えている!家城さんを先頭に三角形のフォーメーション、すごい圧迫感。家城「ぼくは」残り8人「ひとりです!」卒業式のようだ。「轟だもの」「部屋を」「借りたいのです!」林「殺すぞ!」暴力的〜。またもピストルを出す林さん、唐突すぎる。今度なにかやったら殺す、って言ったからか?
そして撃たれる1/9。動揺が走る8/9。騒ぎ出す牛。轟さんズの統制が崩れてしまう!
1人撃たれたのになんとか持ち直した轟さんズ、8人で部屋の条件を美しく唱和。でも最後の家賃だけバラバラ。円陣を組み「部屋を」「借りたいのです!」気合いを入れ直す轟さんズ。ハイタッチでもう一度フォーメーションを組むと、先頭が轟-家城じゃない!だれだ(笑)
そして林さんから乱射される凶弾、次々たおれていく轟さん。
最後に轟-家城だけ残り、「きのう親が死んだんです」林「それはついちゃいけないほうの嘘だな」でパン!「部屋より、お墓をさがしてください」でこときれる轟-家城さん。
そこにひときわ大きな「モォ〜♪」の鳴き声。林「一頭だけすごいデケェ牛いる!」暗転。

家城ぶらり旅inタイガーバームガーデン
テレレレ♪というえらくご陽気な音楽にのって、成田空港前の家城さんの映像。なんと作家さんと2人シンガポールへ!タイガーバームガーデンほんとに行ったのか!機内で林さんの遺影をかかえて眠る家城さん。
去年の9月から家城さんが行きたくて夢にまで見たタイガーバームガーデン、気のふれた造形美の数々をご紹介。ザツなポーズの龍、はまぐりウーマン(卑猥)、ばよえ〜んっていうぷよぷよのキャラ、上島竜平、吉田戦車タッチ、布袋さんか大黒さんにしかみえない笑うブッダ、まったくかわいくないメインキャラクターの虎、などの容赦ない猛攻。制作者はヤク的なものをやってると思う。あ、でも黒い猿の腕に抱かれて林さんの遺影を抱えてるショットはよかったな。半裸でオブジェになりきる家城さんはやはりすごいです。造形的な意味で。
さてここでファイナルミステリーです。悟空は天竺への旅の最後、お釈迦様のてのひらの上にいましたが、私が今いるのは何ひらの上でしょうか?答え:カニひらの上。※カニの目と目のあいだに女の生首がはえている。なんかもうすごすぎ。「林に見せたかったのはこんなんじゃないんだ!」



出張から帰ったので再開です。この1週間でマイルがたまってうれしい私。
お下品夫人は大好きなので、日を改めて3にしよう。3で終わるかな...

2010年06月13日(日)



 つながらない想いを土に返した

初のカリカ単独!土日にしてくれて本当にありがとう。

先週の前半は神様はいると思ったりして、小沢君のことしか考えてなかったのになあ。
後半はずっとダイスを転がせ(♪けっこう体はボロボロ/だけどやらなきゃ悔いが残るだろ)ヘビロテ。水木金と長野出張が長引き、ホテルで木曜〆切の論文書き上げたりしつつ2本取材して金曜。夕方ギリギリで長野から帰阪、大学に直行してとんぼ返りで出勤する。そのまま午前様まで仕事して、土曜朝に最低限の家事だけやって昼のJALで東京へ。爆睡してたから飛行機が離陸したのも着陸したのも覚えてない...。カリカじゃなかったら東京往復のチケット捨ててたなあきっと。4日で3キロ落ちた。

そこまでして見たかったカリカ単独「魔王コント」、2回分とって本当によかったです。いさぎよくカリカしか見なかったのもよかった。調子こいてオールナイトなぞ入れてたらと思うとゾッとする。
土曜昼の回ではふだん使わない頭がなかなか動き出してくれなくて、うわすべってほとんど飲み込めませんでした。情報量が多すぎて脳がフリーズした状態。「これもう1回みるのしんどい」というのが正直な感想だった。でも夜の回でいろんなことが一気に流れ込んできた。それでも脳が疲れすぎて、夜の回終わってからファミレスでパフェ喰ったもんな。酒も飲まず飯もくわずパフェのみ。ふだん甘味食えないのに私。それぐらいの消費量です。

カリカのコントはことばにするのがとても難しいけど、覚えてる限りかこうと思う。笑い部分はあらわしようがありませんが、あんな凄いもの、全力籠められたものが残らないなんていやだ。狂気と猥雑とカオスと、無意識に刺さるなにか。カリカはとても境界的なのに(リンチのマルホランドドライブをふと思い出す)、伝えたいことがきわめて厳しくて強い。
かなり長くなると思うので、これから徐々に書き足していきます。
あ、感想じゃなく書き起こしだから反転にしとこうっと。※記事が長すぎて放送事故みたいなので、文字グレイにしました。

そういえば昼の回はBコース羽生大先生やガリットチュウ熊谷さんやライス関町、田所、山田カントリー浅井くん、しんじなど芸人がもりだくさん観にきてました。他にももっといたんだろうな。他の吉本芸人のライブに比べて、ダントツで男が多かった気がする。


■カリカ単独ライブ‘魔王コント’2010/06/012/Sat_15:00-/19:00-@スペース・ゼロ

あなたは魔王を殺せますか?


※幕ごとのタイトルは超適当です。

SE:まっくらやみに鳴り響くサイレンの音、阿鼻叫喚の声。

OP:アポロが流れてOP映像が始まる。ポルノて。カリカの2人が新宿南口からスペースゼロに歩いていくのを早送り。途中で家城さんが上半身裸で行き倒れてるのに爆笑しました。なんて行き倒れが似合うんだ。抜群のコジキ感。
その映像の合間にインサートされるインタビューふうの映像。
「オレが魔王を倒すから!」チェケラッチョなアーティスト風のかっこした家城さんがイキって言う「何年かけてもオレ魔王倒すから!マジで!」

スラム。死んだ男からスーツをはぎとるオコチャとヨコハマナンバー大塚。
林「待ってつかぁさい!」2人「林ちゃん!」
演歌にのって堂々と登場した林ちゃんは演歌歌手の着物を着ておる。でもイントロに乗ってキメ顔するだけで歌わない。
死体をみて「これは本当に人間の死体か?爆弾ロボットでは?」と疑う林ちゃん「...ただの死体か」なんだか意味深。
オコチャと大塚はどうやら格下で、林ちゃんは必殺技・ぐるぐるパンチでスーツを自分のものに。
「スーツなんか着るの初めてだから俺」
そのわりに異常にスムーズにネクタイを結べていますが。
「魔王でも倒しに行ってやるかな!」
林ちゃんの両親は魔王の部下に殺されたといいます。魔王がいつからいるのか、どれくらい人間を殺してきたかはわからない。魔王がいなければこんなスラムもなくなるのに。

村の宴会にて。いつのまにやら林景荘による魔王討伐が決定されている貧民窟。ばあさんに「3回までだよ」と念を押される林ちゃん。何を3回??
魔王討伐にあたっての演説をぶつうちに熱くなって来た林「なんだか興奮して参りました!エイエイオー!エイエイオー!」(客席に)「言えよ!!」しょうがないからやってやったよ。だって前から2列目だったんだよ...。そして兄弟船をフルコーラスガチで歌う林ちゃん。
♪波の谷間に命の花があぁ〜 うまい!

宴会のあと。林ちゃんだけ潰れているところに魔王が来たという知らせ。こんな村にどうして魔王が!?この村にダライラマが視察に来てるから。袈裟姿のデッカチャン登場「ダライだ!」ちょっと会釈してくれる腰の低い生ダライ。
そこに荘厳な音楽がかかり、登場する魔族と魔王。従者の魔族たちもあやしげだけど、赤いマントに2mを越す長身、2つ角の冠、ご光背みたいに人間や虎の生首を背にぶっ差している魔王、顔は家城さん。こわ!
物陰からみている林ちゃんとオコチャと大塚。
林「あんなのムリムリムリムリ!」
魔「(ダライラマに向かって)門下の首千人分を差し出す決心はできたか?」おそろしく低く響く声(マイクで効果がついている)。
ダライ「そそそれは無理なんだな」(裸の大将風)
そんなやりとりを尻目にオコチャ「林ちゃんにはぐるぐるパンチがあるじゃないか!村の皆が見てるよ!」ということで、「おい魔王、これでもくらえ!」と乱入、ぐるぐる〜の準備態勢に入る林ちゃん。
しかし魔王は遠くの山にある街をあっけなく千手観音波動砲的な光線で山ごと爆破してしまう。こっえー!当然なにごともなかったかのように戻る林ちゃん。しかし部下の魔族にバレる。
部「オマエら魔王さまに何かしようとしたな?誰だ!?」
林「すみません(オコチャを差して)こいつです」
オコチャ「ええええ!?」
刀で刺されてオコチャ死ぬ。ええええ!?こんなのに勝てるわけない!

映像:BGMは銀河。ソファにテーブル、カリカ2人の間に天使のかっこうをした女の子。3人の前には3つのグラスがあり、水が満たされている。そのうち1つに天使が白い粉をサラサラ溶かす。3人それぞれがグラスをシャッフル。どれが粉入りかわからないまま、ジャンケンでグラスを選んでそれぞれ水を飲む。ぱたりと倒れる天使。ソファから立ち上がって立ち去るカリカの2人。去り際すこし笑っている家城さん。アレこれがOP映像じゃないの??

別れと博士。林ちゃんと白い三角巾をつけた幽霊オコチャが向き合っている。
オコチャ「なんで!?ねえなんで!?」林ちゃん「ごめん!」平謝り。
殺せるもんなら殺したいオコチャ「今回だけだよ!」でも許してくれた。
どうやったらあんな強い魔王を倒せるんだろう?博士みたいな人がそこにいるから聞いてみよう、と博士(コッセこういち)に聞く。なにやらいろいろ知っている博士、願い事を叶える方法を教えてくれる。話し中、ふと正面をむく三角巾のオコチャ。
オコチャ「...俺、もう行かなくちゃいけない」林「ああうん(博士の話に夢中)」殺した相手におざなりに扱われ「恨んでるっちゃ恨んでるからね!?」あの世に立ち去るオコチャ。哀れだ〜。
さて、世界には絶滅したはずの虎が7匹いる。傲慢の虎、憤怒の虎、強欲の虎、暴食の虎、嫉妬の虎、怠惰の虎、色欲の虎というキリスト教の7つの大罪を倒すと7つのタイガーバームが手に入る。7つのタイガーバームを集めて虎っぽく吠えられたら虎の王様みたいのが出て来て1つだけ願い事がかなう。なんという鳥山明感。でもタイガーバームをあけると倒した虎が蘇ってしまうらしい。
魔王を直接倒すより虎7匹倒して魔王を倒してもらったほうが楽そう!ということで、虎を探す旅に出る林ちゃん。これはドラクエなのかな??

俺の名前は林景荘(リンケイソウ)、で始まる林ちゃんのモノローグ。
季節は秋から冬へとかわり、修行しながら旅を続けてきた林ちゃんは怖いのでバットを持っています。これ後でシモで効いてくるから。
やっとみつけた一匹目の虎は「怠惰の虎」。虎皮の中身はもちろん家城さん。空気を読まずバットで殴り掛かる林ちゃん。殴るのダメだよというジェスチャーで林ちゃんをがうっと押さえ、「だらだらごろごろばとーる」で床にゴロンしちゃう虎。空気を読まずさらにぐるぐるパンチを繰り出す林ちゃん。
虎「段取りとかあるから!」しゃべった!ぐるぐるパンチは地味に痛いらしい。でもダサい。倒す倒すとしゃかりきの林ちゃんに対し、あくまでダルそうな怠惰の虎。戦いの例:だらだらしててダメな奴が言いそうなこと「小学校のときに転校したんだけどぉ、あんときから全部がおかしい」「あなたの仕事はぼくの部屋にごはんを運ぶことです(意味不明)」など。あとブッダもコジキだったってのは2回目だったのかな?
業を煮やしてさらにぐるぐるパンチを繰り出す林ちゃん、相手がねっころがってるもんだからただの甘え上手な大型犬。ようやっとキレた虎が林ちゃんの腕にがるると噛みつく。そこでフィードバックする1幕、スラムのばあさんの声。
「ぐるぐるパンチは3回までだよ」
「それ以上やると身体がもたなくなるよ」
あれはそういうことだったのか!というかばあさんの映像がジブリキャラ(笑)
死力を尽くして4度目のぐるぐるパンチを繰り出し、怠惰の虎をやっつける林ちゃん。でももう身体が...!虎が消えた後にはタイガーバームが落ちている。

「もがき」(これはエロパートなのでよく覚えている私)
「ああ...塗りてぇ〜...タイガーバーム...」そう、タイガーバームは何でも治す魔法の薬。「景荘です...塗りたいとです...景荘です...」
※ここらあたりで林ちゃんは股間にバットを挟んで上下に擦ったり昇りつめたりしている。ビクビクっときて「あっ....!」イった(笑)。昇天後のケイレンに周りから浮くほど笑ってしまう私。
そこに現れたのは旅人リッキー。タイガーバームを集めて世界を旅する彼は存外弱く、バット一撃で死んでしまった。林「もろい!」リッキーの腰の袋にはなんと6つのタイガーバームが。「揃っちゃいましたけど!?」安易に揃いました。これで魔王を倒せる!
しかし虎っぽく吠えられない林ちゃん。吠えても吠えてもタイガーバームはぴくりともしない。「無理だよぉ〜あお〜ん!」悲しい遠吠えに一天にわかにかき曇り、SEで七頭の虎の吠え声が近づいてくる(これ超こわかった)。
「私を呼んだのはきさまか(超低音)」
現れたのは...シェンロンにあらず、なんと魔王でありました。
魔「さあ、願いごとは何だ」林「魔王ですよね!?」魔「もともとこちらが本業だ」
魔王は副業なのかよ!というツッコミもできない林ちゃん、気まずさと怖さに泣きだす。
魔「勇者よ、さあ願い事を言え」
林「魔王を、ですね...」魔「うん?」林「魔王を......」魔「早く願い事を言え!」林「オコチャを生き返らせてください!!」結局言えなかった林ちゃん。
魔「たやすいことだ」林「そりゃそうでしょうねえ!」
願いを叶えたっぽい魔王、虎の吠え声とともに立ち去る。
タイガーバームはドラゴンボールのようにちりぢりに。
エーンエーンと泣き出す林ちゃん「魔王に魔王を殺してくれなんて言えますか?それは自殺を頼むようなものですよね。あの状況で、あなたは魔王を殺せますか?」
ここで1つめの答えが出ます。魔王は殺せない。
寝っ転がっている林ちゃんのもとに物知りカスタマイズ(遠藤はやと)がやってくる。例によってひどいカツゼツでカスタマイズの説明を。その後ほとんど説明もなしに何でも切れる伝説の剣の存在を教えてくれました。エスパー!
南の島の長寿の国にその剣はあるといいます。それなら魔王を切れるかもしれない。でもその剣は岩に刺さっていて、どうしても抜くことができない。
去り際のカスタマイズ「その剣を抜いた者...誰もいない」林「謎めかさないでえ!」

「伝説の剣 カリカ」(カリカの文字はあとでインサートされる)
南の島にやってきた林ちゃん。ちなみに林ちゃんは着物を着替えてからずっとスーツで、序盤から飛び散る汗がまぶしかったのですが、このころにはもはや滝のようでした。林ちゃん水生動物なの?
舞台には剣が刺さった岩があり、その横に王様(デッカチャン)があざらしのよに寝ている。起こしにくる侍従(...大河?)に会釈。「風邪ひきますよ〜」と起こされた王様「これ桃屋のラー油じゃねえだろ!」ねぼけとる。でも友好的だった。昔はいろんな人が剣を抜きにきて観光地化してたけど、今はもうあきらめて誰も寄り付かないという。姫がいるからと呼びに行く国王と侍従。
一人になった林ちゃん、物思いにふけりながらふと剣に手を伸ばし、考え考え剣を抜いて振り回し...って抜けた!「やだぁ!」なぜにオカマ。デコラティブな剣を手に「力が漲ってくる...!」「エイエイオー!エイエイオー!」すごい剣らしいです。さっさと剣を持って逃げようとするも「国王の前で抜くってのもオツなんじゃないの?」てことで岩にいったん剣を戻す。
そこに戻ってくる主従「お待たせ〜抜けなかったでしょ?」林「ええ無理でした(しらっと)」国王「抜けても抜けなくても一緒だけどね...」んん?
王様に明日の朝は早いかと聞かれ、いいえ、というと歓迎会を開いてくれるとのこと。剣を抜いたものには伝説の剣・カリカが与えられる。カリカは実は何でも切れる剣ではなく、初期衝動を呼び起こすもの。ああだから「エイエイオー」だったのか。そしてカリカを手にしたものは国王の娘・みゆきを妻として授けられる。林「結婚までできちゃうの!?」
そこにみゆき姫登場。もちろん家城さんです。くちびる真っ赤、2列目からみるとそれはもう破壊的にものすごいことに(たぶん遠目から見る分にはきれいなんじゃなかろうか)。みゆきは「その剣を抜いて見事わらわの心を射止めてみよ!」と言い放つ超高飛車な女。林「ぶさいくが上からきましたよ!」
「さあ抜け!」という国王の命令のもと、抜くフリをして脚を吊らせる林ちゃん。国王「やっぱりかぁ〜〜!」しかしだまされない姫「おい七三メガネ!刀を抜くのにどうして脚がトゥる?どうして本気でやらない!?」バレた。もう一度こころみるも、今度は持病の握力ゼロ病で抜けないフリ。そんな本気で挑もうともしない男なんて好きになれない、とツンをかます姫の背後でバットをふりかざす林ちゃん。殺意ですね。
姫「おぬしなら抜ける」林「抜けないんです」姫「抜ける」林「抜けません!」姫「抜ける!」林「無理です!」姫「チンカスがぁ!」林「抜いてやるよバカヤロー!!」激昂した林ちゃん、ついに岩に刺さった剣に手をかける。林「王様、抜いちゃいますよ!」王「頼む抜いてくれ!」王様は姫がブスだから剣を抜く者がいない、ということを知っていた。そのうえでこの長い歴史に終止符を打ってくれと林ちゃんに頼む。この人ら800年もこんなことやってるそうです。王様が1200歳、姫が750歳、侍従が32歳。林「よく話あいますね」たしかに。
どうして剣を抜かないのかと詰め寄る姫に、「あなたがブスだからですよ!」ぶちまけてしまう林ちゃん。姫「...ブス?」しかし国民に箝口令がしかれていて、姫はブスという言葉を知らなかった。姫「ブスって何なの?」問いに答えられず、口に爆弾を含んで泣きながら走り去る侍従。次いで爆発音。林「自爆した!ええ!?」だまって顔にふりかかった爆発の破片をぬぐう姫。林「フルーツですよ、ブスは苦いフルーツです。ではこれで」でもこの国からは逃げられない。国王に処刑されてしまうから。
「なぜ剣を抜かない!」苛立つ姫。そうだキスしてやろう、キスすれば姫の魅力に気づき剣を抜きたくなるだろう...というのに林ちゃん全力拒否。姫「なぜキスしないのだ!」林「だからおまえがぶさいくだからだよ!」またぶちまけてしまいます。姫「ねぇおとうさまぁ、ぶさいくってなぁに?」無邪気な問いに国王は泣きながら舞台袖へ去る。そして爆破音。さっきより大量にふりかかった破片を無言でぬぐう姫。なんという負の連鎖なのか。
ブス・ぶさいくとは可愛くないし美しくない、汚れている、顔を大けがしているということ。林ちゃんによって姫は真実を知らされました。姫「嘘よ!ほら、おぬしの剣を抜いてみよ!」林「ブスが下ネタ言ってんじゃねえよ!汚物!」
剣は物凄くほしいけどあなたは本当にほしくない、と聞いて錯乱し歌い出すみゆき姫。「♪あたし中卒やからね仕事をもらわれへんのやと書いた〜」ファイトの一番きついところをガクガク首を振って、サビとばして「♪あたし男に生まれればよかったわ〜」絶唱。林「もうやめてください!」姫「ファイト♪」思わずみゆき姫を地面に叩き付ける林ちゃん。
地に伏せた状態から起き上がり「糸」にあわせておどるみゆき姫。天に伸びた腕がほんとうにきれいだった。バットを股間に挟んで上下させたりもしていましたが。「♪たての糸はあなた〜横の糸はわたし〜」のこっけいな動きが哀しい。肩から二の腕から人差し指のさきまでピンと神経が貫かれていて、林ちゃんに伸ばされる腕が哀れにぶるぶる震えて、指先へ絶望の感情がほとばしって、そこから花が咲くよう。笑いながら観ていたのになんだか心打たれました。すごく汚いのにきれい。「うわあああ!」叫んでついに剣を抜いた林ちゃんにほほえんで駈けよろうとするみゆき姫、その胸を刺しつらぬく剣。みゆき姫は「ありがとう」と言ってこときれます。逢うべき糸に出逢えることを人は仕合わせと呼ぶ。だからみゆき姫は、それでも最後は幸せだったんだろう。

※なっげえ!みゆき姫が好きすぎて、どうしても書いておきたかった。ここが前半の山場でした。しかしこれが前フリでしかないという脅威。あとお下品夫人と初めての魔王の間を書くまでは終われない!しかし3日たって記憶が薄れつつあるため、次からかなり曖昧です。
はじめてエンピツから文字数オーバーを告げられた。
エンピツって文字制限あったんだね!

 

2010年06月12日(土)



 返事じゃない言葉を喋りだすのなら

■小沢健二‘ひふみよ’ 2010/06/06/Sun_17:30-@神戸こくさいホール

前から10列目真ん中寄りという超絶アタリ席でした。
小沢くんの声はつよく太く伸びていた。でも変わっていなかった。ああ間に合った!ウン十年前に生まれてこの瞬間まで生きてこれてよかった、ほんとによかった。楽しかった、ありがとう全部に!
総立ちの客席はみんな渇望していて、みんな歌でうるおっていくのがわかった。私はあの場にいた人たちを無条件で愛する。たとえネガティブな感想を抱えて帰った人であっても。

会場で思ったことや感極まったことは結局全部10年以上前に小沢くん自身によって歌われてあって、まるで追体験みたいに思えました。ものすごく近い場所に来てくれたのにすさまじい距離があって、温かいのに寒いような、とても不思議なかんじがした。「帰ってきた」ではなくて、旅の途中で「立ち寄ってくれた」というような。それでも十分なんですけど、さみしいなあ。贅沢だなあ。


蛇足としての備忘録

・曲の順番(?はうろ覚え):流星ビバップ→僕らが旅に出る理由→天使たちのシーン(編曲)→いちごが染まる→ローラースケートパーク→東京恋愛専科?(メドレーみたいになってた)→ローラースケートパーク→ラブリーの歌詞変更練習「1時間後にやります!」→カローラ�に乗って→痛快ウキウキ通り→天気読み→戦場のボーイズライフ→強い気持ち・強い愛→ブギーバック→夢が夢なら→麝香?→シッカショ節→さよならなんて云えないよ→ドアをノックするのは誰だ?→ある光→時間軸を曲げる?→ラブリー(練習Ver.)→流星ビバップ→アンコール:いちょう並木のセレナーデ→愛し愛されて生きるのさ。怒濤!
・MC(エッセイみたいなのの朗読):停電の夜のNY→ひふみよいつむ〜の音韻、動物と想像力が越える国境→貧富と優越感と車と、音楽と。「この街の大衆音楽の一部であることを誇りに思います。ありがとう」→安全志向とアジア的自転車の乗り方→笑い(※メモ:自分にだけわかる狭い笑いでこそ人は大きな声で笑う、まさにその通り。けど共同体内部における排他性はローカル性と同義か?)→アンコール「呼んでくれたらまた来る」ってさ!
・13拍子曲の小沢くんがしぬほどかわいい、けしからん(顔のよこでキュッキュッと電球を交換するみたいな、不思議な動きでおどる)
・麝香の「心の鍵が開く小さな音を覚えている」というフレーズを聴いてアルバム購入検討中
・「この愛はメッセージ!」で思わず泣く
・ほんのひとくだりの「ある光」でも泣く
・でも「いつか僕ら外へ飛び出すよ」で泣くのをやめる
・われらときをゆく♪
・ああ、天気読みもよかったなあ

MC朗読は小沢くんが極力アカデミックなことばを使わず、だれでもわかるように話そうとしてるのが伝わってきた。うさぎ!もセラピー的なあれも買ってないし読んでないから推測だけど、以前エコ報道が流れたときにわたしは彼をエコじゃなく反資本&アンチグローバリズムって書いたような気がする。でもアンチでも反でもないなとMC聞いてて思った。ただそういう事実として世界はとらえられている。なら消費(と流通)についてどう考えるのかを知りたい。彼の関心は資本の拡大(の美しさと残酷さ)ではなくて、消費し・される側のこころ(の無自覚性)にあるみたいだもの。せめてセラピー的&企業的は買っときゃよかったなー。
Tシャツはピンクの月光レディースをかろうじて買えました。首や肩回りもろもろがすごい余るけど、これはどう着ればいいのだ。

帰りはアジア的混沌にまかせて自転車で疾走。夢が夢ならそれでもかまわない(死んだっていいや)の精神で。帰宅してからシングルのみ収録曲もiPhoneに入れようと思い立ち、懐かしの8cmCDをPCにぶっこむ。カローラ�だけiTunesが読み込んでくれない!!なんでー!?

うーん全然眠くならないな、どうしよう今日も徹夜かしら。
でも論文は一文字たりとも進まない自信があるぜ。


例によって最近のお笑い事情
・ジャイケルマクソンにシンクタンクとしましまんず登場。2010年上半期のテレビシーンで最も手に汗握る展開であった。ビジュアルバムの「都」そのままの泥臭さ。つばさきよしとヘッドライトの未来の姿をみる。
・いまぶーむ(旧なすなかにし)を見るためだけに「悪いWARAI」のチケットをとる。彼らの東京進出&改名で関西お笑い界の希望の火がひとつ消えたのだから、その行く末は見届けなければ。
・アメトーークでRG同好会。RGがバカにみつかる日がついに来たか!半ば絶望しながらオンエアを迎えたいと思います。
・「RG vs ハブ」が6月13日夜開催とのこと。カリカ単独の次の日なのに、僻地出張でどうしても日曜朝に大阪に帰らねばならない。誰か、誰かレポを!

2010年06月06日(日)
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