雑記目録
高良真常



 夜叉の舌 (本)

夜叉の舌
  赤江瀑


草薙剣は沈んだ / 月曜日の朝やってくる /
悪魔恋祓い / 夜叉の舌 /
春の寵児 / 鳥を見た人 /
夜な夜なの川 / 影の訪れ / 池 /
迦陵頻伽よ


刀剣の鞘づくりに打ち込む若き見習い職人・平河友威。見守るかのように彼の周りに現れる赫い蜘蛛がいた……。

妖かしの世界と、それに魅了される人間・翻弄される人間を描いた、自選ホラー短編集。
赤江瀑の著書の中では手に入りやすい一冊ではないでしょうか。

個人的には「草薙剣は沈んだ」がゾクッときました;
「草薙剣は沈んだ」は、平家の秘宝とされ、『三種の神器』と呼ばれた中で、唯一今でも見つかっていない『草薙剣』と、「耳なし芳一」を彷彿とさせる平家の霊を描いた話。
自選ホラーとだけあって、ゾクゾクくるものばかりです。












2004年10月04日(月)



 時計館の殺人 (本)

時計館の殺人
   綾辻行人


本作は、「館シリーズ」と呼ばれる、綾辻行人を代表するシリーズのうちの一作。
残り僅かな命と医師に宣告された少女。その少女を慰めるために少女の父が作った館。それがこの『時計館』。
大小さまざま、数百を越える数の時計たちに囲まれ、少女は息をひきとった。
その少女が夜な夜な徘徊すると言われているこの館で、「交霊会」を企画して数人の男女が訪れる。鍵をかけ、何人も入れないようにされた閉鎖空間で、殺人が起こる……。

次々と殺されていくメンバー。
姿の見えない殺人鬼。
『時計館』という一種の特殊空間の「中」と「外」で展開されていくストーリー。
そして明かされる、館自体に秘められた悲しい秘密――……。

「館シリーズ」の中でも、美しさと悲しさにおいて類を見ない話。


余談:『悲しみの時計少女』(谷山浩子著)の時にも記したように、本作と『悲しみの時計少女』には幾つかの共通点があります。当然、この「時計館の殺人」に出てくる、あの子も――……。









2004年10月03日(日)



 雨更紗 (本)

雨更紗
  長野まゆみ
 河出書房新社


しとしとと雨が降る。
哉と玲という二人の少年がいた。
二人は従兄弟同士。

一人の青年教師がいた。
青年は二人の少年に慕われていた。

雨の帳に薄暗く隠れている真実の姿が、見え隠れする。

雨の降る日に静かに読んで欲しい、そんな本。

耽美色が強いので、苦手な人は注意。









2004年10月02日(土)



 夏への扉 (本)

夏への扉
  ロバート・A・ハインライン
 ハヤカワ文庫



SFの代表的作品のひとつでもある、ハインラインの有名な小説。
主人公の男性は、友人と二人で発明の仕事に取り組んでいた。彼が作っているのは、全自動の家事ロボット。
だが、その発明が成功しかけた時に、相棒である友人が突如彼を裏切り――……彼は冷凍睡眠装置に入れられてしまう。
目を覚ますと、そこは未来の世界だった……。


上記のあらすじには触れていませんが、主人公の唯一の家族に、猫のピートがいます。この作品、「全ての猫好きへ捧げる作品」なので、愛猫家はご一読あれ♪

冷凍睡眠やタイムスリップなどを利用し、話は過去へ未来へと行き来します。過去へ戻るたびに覆される真実、未来へ進むたびに進展するストーリーがとても鮮やかで、不幸でダラダラでヘタレだった(笑)主人公の道が明るく切り開かれていくところなども非常に小気味よく、映画のように展開する話がとっても面白いです。

余談。
ロリコンと裸バンザイと猫大好き――みたいな感じとも言われてます(笑)












2004年10月01日(金)
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